地域観光プランニング

 

〜観光まちづくりの計画技術の体系化〜

観光まちづくりの計画技術の体系化、実装研究

 

観光まちづくりの計画技術の体系化をめざして、日本建築学会の小委員会として活動している研究である。行政の観光計画の対象がソフト中心となっている状況に対して、より質の高い観光「エリア」を作っていくための景観や公共空間の魅力化といったハードと、観光コンテンツの開発などのソフトが連動した計画論をめざしている。それぞれに関わる先進事例の調査をもとに、従来の観光計画や都市計画・まちづくりとの関係のなかでポジショニングをしつつ、手法の要点を整理している。具体的には、地区スケールで環境・空間改善や、地理的・空間的・人的環境の中で観光資源をとらえることを重視し、実効性ある公民連携の取り組みとするための、フロートビジョンと実行チームのつくり方、社会実験を通しての事業化といったプロセスデザイン、持続的な観光地経営のためのエリアマネジメント組織や観光財源確保の方法等である。
2017年度は、観光地の持続性のための手法として、観光地の質や環境を認証する制度の事例研究や、居住者や潜在的観光事業者、従業員といった非観光者向けも含む観光まちづくりの情報発信のあり方について事例研究を行い、地域観光プランニングのプロセスデザインと要点を更新した。
 
2018年度は、観光地の持続性のための手法として、観光地の質や環境を認証する制度の事例研究や、居住者や潜在的観光事業者、従業員といった非観光者向けも含む観光まちづくりの情報発信のあり方について事例研究を行い、地域観光プランニングのプロセスデザインと要点を更新した。
 
2019年度は、持続性のある観光地形成の方法として、地域に新たな雇用を生みだせる事業、さらには、その経営者が次の事業展開や地域に再投資できる余力を生み出せる事業としての「ガチ・ビジネス」の創出が重要と考え、これを支援するファンドや、ハンズオン支援の仕組みと要点を、先進事例の調査から整理した。(事例:湯田中温泉郷「WAKUWAKUやまのうち」等)

2020年度は、コロナ禍の中で顕在化しているマイクロツーリズムやオンラインツアー等の仮想体験観光といった新しい観光の形を旅の時間軸や空間移動面から俯瞰的に整理したうえで、これまで考えてきた方法論の視点から評価した。また、コロナ禍を乗り越えるための新しい動きを始めているキーパーソンのインタビューを積み上げた。
また自治体の観光行政の今後のあり方について、短期的効果を狙ったプロモーションを中心とするフローの取組みだけでなく、地域に「レガシー」を残すストック型の取組みを目指すべきことを、全国自治体へのアンケート調査や事例をもとに提言した。

2021年度
は、これまで小委員会が議論してきた地域観光プランニングの考え方をもとにコロナ禍における観光動向を捉えながら、観光を活かした地域再生概念の再構築に向けて議論をした。日本建築学会大会において、「ポストコロナに向けての観光地域の再生戦略」と題したパネルディスカッションを主催した。
観光客の一部が地域に貢献する粘着力の強い関係人口になるには、楽しい観光から地域のしごとを支援するような観光まで、観光客が地域に関わる段階性を意識した観光コンテンツを用意する重要性を確認し、生業観光はこれに親和性があることが示唆された。
また、観光業と他の産業との事業者における地域内連携の意義は、ビジネス・エコシステムとして大きな収益構造を生む方向と、広域流通が止まるような非常時における地域経済循環のサブシステムとして観光を位置づける方向の2つがあることを確認した。このとき、宿泊施設は観光に限らない地域のインフラとして重要であることが示唆された。

研究一覧

長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト

高尾山地区 観光地マネジメント研究

林業基盤の職人連携による観光まちづくり

ヴェトナム・フエ皇帝陵の構成原理解読とエコツーリズム推進

里山再生✕コミュニティ形成をめざす開発住宅地のエリアマネジメント

テーマ研究一覧

地域観光プランニング〜観光まちづくりの計画技術の体系化

地域観光プランニングカレッジ:観光まちづくり人材教育プログラムの開発

観光まちづくりオーラルヒストリー研究

都市の祝祭空間研究

まちづくり技術を生かした地域ブランディング
 

川原研(大学院)で研究を希望する方へ

  • 受験前に必ず相談しに来てください。(ビデオ会議も可能です)。
  • 観光に関わる簡単な研究計画書をEメールで送付ください。
  • 大学院の合格前に、研究生として受け入れることはしていません(学科方針)。
  • 受験の詳細は観光科学域HPをご覧下さい。夏試験(8月)、冬試験(2月)があります。