林業基盤の職人連携による観光まちづくり

林業や和紙といった里山基盤のものづくり産業や文化、職人を有する埼玉県ときがわ町において、自然と共生する暮らしの価値観に共感する人を対象に、ものづくりの川上(材料づくり)から川下(商品づくり)までの物語に触れつつ、DIY体験を楽しんでもらう観光コンテンツの造成を行うプロジェクトである。このプロジェクトを通して、これまで接点の薄かった職人さんや観光やまちづくりの専門家、行政との事業連携を行い、多面的な地域振興につないでいくことを目指している。
 

2020年度

2020年度は、観光庁の「『誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成』における実施事業」を活用して、この土地を訪れた方に、地元の職人さんたちと一緒になって地域をめぐりつつ、木材や和紙等を用いて自分でつくった名産品を持ち帰る3種類のワークショップを合計14回試行した。林業家、製材店、家具職人、組子職人、和紙職人、工務店、マッチングコーディネーター、デザイナー、地域プロデューサー、地域商社、行政、大学等の連携が実現している。川原研は、ワークショップの企画や磨き上げの支援、解説ツールやホームページの制作、コロナ禍の中で一般客を公募するのが難しい状況の中でのモニター、支払い意思額調査などを行った。職人側、参加者側双方の満足度は高く、日帰りツアーとしては比較的高額の支払い意思額を提示した参加者も多く、連携強化の意欲向上につながった。
 
ときがわ森の教室 prduced by ときがわネットワーク 公式HP:里山ものづくりの川上から川下までを味わう観光!

2021年度


2021年度は、観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」を活用して、移住者を中心とする職人へのインタビューをまとめた既存資料「 ときがわ職人図鑑 第一号、第二号(ときがわ町観光協会 福島だいすけさん制作)」と、川原研究室で実施した代々地域で林業に携わる「地元の人」へのインタビュー資料をもとに、「ときがわ町 山の恵みフェノロジーカレンダー」を作成した。この資料は、里山の地域資源をそこに携わる人に着目しながら歳時記として整理するとともに、その地域資源に関連するものづくりや食の川上から川下までのさまざまなストーリーをまとめたことに特色がある。
 
ときがわ山の恵みフェノロジーカレンダー.pdf
また、ときがわネットワークの理念と体験型プログラムの予約ポータルサイト 「ときがわ森の教室  “木の町ときがわ”がお届けする暮らしを耕す手しごと体験」 が立ち上がった。2年間実証実験をしてきた次の体験型アクティビティを予約することができる。
ときがわネットワークが提供する体験型アクティビティ
 
  • 森と職人技を楽しむ ときがわ森図鑑
  • 和紙の原料収穫から行う本格内容 伝統工法でつくる手漉き和紙体験
  • いま、大切な森の循環を考える reモリ倶楽部
  • 生木を使った暮らしの道具づくり グリーンウッドワーク
  • 木の力を感じ、森を学ぶ 伐採見学会
  • 暮らしに森の面影を ポータブルランプ TOKI
また、昨年に引き続き、ときがわネットワークのメンバーが造成した観光イベントやワークショップの事業検証のために、支払い意思額調査を行った。この知見を生かし、「目的達成や商品磨き上げに活かせる事業検証方法とは?」と題して、観光庁の域内連携実証事業の成果報告会で講演会を行い、手引き書に掲載された。
地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業 手引き書
手引き書PP.45-47 に掲載 川原執筆記事。
「目的達成や商品磨き上げに活かせる事業検証法」4頁目追加版.pdf 
 
各地の採択事業者から寄せられた相談内容をふまえ、学術的検証調査というより、観光コンテンツ造成に関わる現場の方の目線でどのように検証調査をやったらよいかを書いてあります。

研究一覧

長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト

高尾山地区 観光地マネジメント研究

林業基盤の職人連携による観光まちづくり

ヴェトナム・フエ皇帝陵の構成原理解読とエコツーリズム推進

里山再生✕コミュニティ形成をめざす開発住宅地のエリアマネジメント

地域観光プランニング〜観光まちづくりの計画技術の体系化

地域観光プランニングカレッジ:観光まちづくり人材教育プログラムの開発

観光まちづくりオーラルヒストリー研究

都市の祝祭空間研究

まちづくり技術を生かした地域ブランディング
 

川原研(大学院)で研究を希望する方へ

  • 受験前に必ず相談しに来てください。(ビデオ会議も可能です)。
  • 観光に関わる簡単な研究計画書をEメールで送付ください。
  • 大学院の合格前に、研究生として受け入れることはしていません(学科方針)。
  • 受験の詳細は観光科学域HPをご覧下さい。夏試験(8月)、冬試験(2月)があります。