ヴェトナム・フエ皇帝陵の構成原理解読と
エコスタディツアー

  ベトナム最後の王朝、阮朝の歴代皇帝陵は、ユネスコ世界遺産「フエの建造物群」の構成遺産として認定されています。筆者らの研究チームは、建造物のみならず、周辺の自然環境や集落、水田を含めたランドスケープが、中国の風水思想を土台にベトナムの気候風土に合わせて独自に工夫されて計画されていたことを明らかにしてきました。しかし、ベトナム戦争による被害や、近年の農業や林業形態の変化や、地域外資本による観光目的の空間改変によって、その景観や水利システムが壊されつつあります。
 
 
そこで、筆者らの日本調査チームでは、集落住民や政府関係者と皇帝陵の計画思想を共有し、皇帝陵の歴史的環境の保全と適切な観光活用のために、2017年よりエコスタディツアーを試行してきました。 

 エコツーリズムの概念とエコツアー造成のプロセスを応用しています

 

 

 

 2018-19 研究成果を伝えるエコスタディツアーを造成

守るべき環境価値を地域や観光客、現地政府に伝えることを目指しています!

 

2019年度は、初代皇帝の陵墓「嘉隆帝陵」と一体として計画された周辺環境にある魅力を味わってもらう仕掛けを用意したスタディツアー(日本語ガイド,英語ガイド)を、外国人旅行者向けに実施しました。そこには現地の観光局や旅行会社にも参加してもらい,多主体が参加するコミュニティ・ツーリズムの運営モデルについても検討することができました。(試行錯誤の結果の本ツアーの特徴は右図)
 
 
 
 
学術調査の仮説や結果、それを踏まえて地域の価値と考えるものを一般の人にわかりやすいようにパンフレットとガイダンス解説文に集約して整理した(右図)。

 
 
 
 
 
 
「嘉隆帝陵周辺に形成された文化的景観のマネジメント手法としてのエコツーリズムの可能性と課題 〜ヴィエトナム・フエ京城都市の変容に関する研究 (24)〜, 古川尚彬(首都大学東京), 赤澤貴仁, 寺澤裕実子, 中西美裕, 川原晋, 佐藤滋, 
日本建築学会大会2018 選抜梗概  ダウンロード 

 2021 ハイブリッドツアー=現地ツアー+オンラインツアーの試行

オンライン側では地域環境の理解やツアー・ストーリーを詳説!

 

2020年度より現地ツアー会社を設立し実践段階に進んでいます。コロナ禍においても動きを止めないために、現地ツアーと、これをLive中継するオンラインツアーとを同時におこなう「ハイブリッドツアー」に挑戦しました。ドローンによる空中からのLive映像の併用や、オンライン参加者向けのzoom画面共有を活用した多様な資料の提示と解説など、ハイブリッドツアーならではの価値をつくる方法を試行しました。
 
写真は、オンラインで参加した場合の画面です。現地ツアーで楽しんでいる様子を感じ取りながら、スタジオでの追加解説のように、現地では時間を取ってなかなか説しづらい研究成果を説明できました。その結果、地域の環境価値を理解するエコツーリズムに基づくエコツアーとの親和性や有用性について、多くの前向きな意見を確認できました。
 
  今後は、現ツアーの前後に体験するオンラインツアーの意義を意識しながらハイブリッドツアーを磨き上げるとともに、その有用性を確認していきます。

「嘉隆帝陵エコスタディーツアーとオンラインツアーの 組合せに見るエコツーリズムとの親和性 ~ ヴィエトナム・フエ京城市の変容に関する研究 (28) ~ 」
◎狭間辰之(東京都立大学) , 海老沢結, 川原晋, 山田大樹, 田中滋夫, 佐藤滋,  日本建築学会大会2020 選抜梗概  ダウンロード

ツアーページ(作成中)
https://vietnamecostudytours.com
 
※本研究は,科研費基盤研究( B)『フエ歴代皇帝陵周辺集落との協働による歴史的環境のマネジメント手法』(研究代表:佐藤滋@早稲田大学)の一環として実施したものです。

 2022 推進状況

新に Thieu Tri皇帝陵 エコスタディツアーを試行

 

 

ブログで経過を報告しています。「ベトナム・フエの皇帝陵の造営計画の意図と技術を知るエコスタディツアーを試行」

研究一覧

長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト

高尾山地区 観光地マネジメント研究

林業基盤の職人連携による観光まちづくり

ヴェトナム・フエ皇帝陵の構成原理解読とエコツーリズム推進

里山再生✕コミュニティ形成をめざす開発住宅地のエリアマネジメント

地域観光プランニング〜観光まちづくりの計画技術の体系化

地域観光プランニングカレッジ:観光まちづくり人材教育プログラムの開発

観光まちづくりオーラルヒストリー研究

都市の祝祭空間研究

まちづくり技術を生かした地域ブランディング
 

川原研(大学院)で研究を希望する方へ

  • 受験前に必ず相談しに来てください。(ビデオ会議も可能です)。
  • 観光に関わる簡単な研究計画書をEメールで送付ください。
  • 大学院の合格前に、研究生として受け入れることはしていません(学科方針)。
  • 受験の詳細は観光科学域HPをご覧下さい。夏試験(8月)、冬試験(2月)があります。