山口県長門市で川原研究室も参画する『長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト』が2021年度都市景観賞 優秀賞を受賞

2020年度グッドデザイン賞(2020.10)、ふるさと名品オブ・ザ・イヤー「地方創生大賞」(2021.03)も受賞しています


 

『長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト』が2020年度のグッドデザイン賞を受賞しました!

 

「街区・地域開発」のカテゴリーにおいて受賞
 

評価ポイント

2016年以降、長門湯本温泉が、行政、地元まちづくり協議会はじめとする地域の方々、旅館関係者をはじめとする地元事業者と一体となり取り組んできた持続可能な観光地域づくりのための空間整備と活用体制の構築、観光地経営のデザイン、そこにいたるまでの社会実験を通した合意形成と協力体制構築などが高く評価されたものです。

川原研の取り組み

 

川原および川原研では、観光まちづくりの視点から、以下のようなことを行ってきました、
  • 景観ガイドラインへの、地域一体による「もてなし景観」を実現するための助言
  • 地域一級の資産である茶陶 萩焼を、そのブランド毀損に配慮しながら温泉地の魅力向上に活用するための基盤資料「萩焼深川窯史」の作成
  • エリアコンセプトの検討支援
  • 住民や従業員の生活満足度の向上のためのモニタリング調査手法の検討
 
大学研究者、研究室の果たせた役割は限られたものではありますが、現場で奮闘した地元の皆さんや専門家の並々ならぬ覚悟と熱意の取り組みの一端に参画できたことに感謝し、引き続き大学だからできることを模索しながら、応援をしていきたいと思います!

また、長門湯本温泉の取り組みが多くの地域のヒントとなるように発信していきたいと思います!

萩焼深川窯アーカイブ調査 

景観ガイドラインとおとずれリノベ論文

受賞概要


■受賞対象名---- 温泉地再生 [長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト]
■事業主体名---- 長門市、株式会社星野リゾート、長門湯守株式会社、長門湯本温泉まち株式会社
■分   類---- 街区・地域開発
■受 賞 企 業---- 長門湯本温泉観光まちづくり推進会議 (山口県)、長門湯本温泉観光まちづくりデザイン会議 (山口県)
 

プロジェクト概要

衰退した温泉地の価値を高め次世代につなげるため、消費観光を脱し共感を生むエリアへ。それには投資主体・市・地域が同じビジョンを持ち、働き手暮らし手が誇りに感じ暮らしを楽しみ、地域自らが事業主体となり経済循環を起こし、来訪者と特別な空間と体験を共有する。それを実現する体制構築、空間、事業化、プロセス、観光地経営のデザイン。
 

デザインのポイント

1. 投資主体にビジョン提案を求め位置づけ、外部専門家と地元若手有志や市役所庁内横断が融合するチームビルディング
2. 県市にわたるエリア全体の抜本的土木デザイン、全域照明制御等、今日的環境デザインを民間事業の外湯再建と共に実現
3. 三年間の社会実験を経て河川空間活用や交通計画の地元合意と仕組み構築、地元主体による継続運営が可能に
 

プロデューサー

大西倉雄(前長門市長)、星野リゾート代表 星野佳路、長門湯本温泉まち株式会社 伊藤就一・大谷和弘
 

ディレクター

長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト・チーム、木村隼斗(前長門市経済観光部長)、有限会社ハートビートプラン 泉英明・有賀敬直
 

デザイナー

アルセッド建築研究所 益尾孝祐、カネミツヒロシセッケイシツ 金光弘志、LEM空間工房 長町志穂、日本海コンサルタント 片岸将広、
東京都立大学 川原晋、金剛住機 木村大吾、設計事務所岡昇平、YM-ZOP、ファンタス 白石慎一
 
 
 

審査委員による評価

衰退した温泉地の再生プロジェクト。事業者が公共空間を含むマスタープランを提案し、公民が連携して総合的なデザインに落とし込んでいることや、主に都市的な環境で用いられてきたデザインレビューや社会実験を取り入れていることなど、新たな挑戦をしており、それが質の高い空間に結実している。再生を目指す各地の温泉地で、大型宿泊施設の囲い込みから施設を巡る形式へと移行する動きがあるが、ここではさらにその先の、エリアそのものの豊かな体験へと向かおうとしている。観光だけでなく住み働く地域としての魅力も高める方法は、持続可能な観光のひとつのヒントではないだろうか。
 
概要パネル(作成:長門湯本温泉観光まちづくりデザイン会議)
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『長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト』が ふるさと名品オブ・ザ・イヤーの「地方創生大賞」を受賞しました。(2021.03)

 

受賞品名:「オソト天国」長門湯本温泉街の丸ごとリノベーション&マネジメント(長門湯本温泉まち株式会社)
 

評価ポイント

「敷地主義を脱した温泉街の『面的再生』を、民間・地域・行政一丸で実現しました。民間でのシンボル外湯の再建、新規店舗7軒、地域での景観刷新や植栽管理、公民での河川・道路の活用ルール、観光地経営の仕組みづくりを通じ、ここにしかない「オソト天国」を生み育てています。」と評価されました。
 

ふるさと名品オブ・ザ・イヤーとは

 「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」は、地域の将来を支える名品とその市場開拓を支援する表彰制度です。地域の魅力づくりを応援する民間企業が、各地域に眠る名品とそれを支えるストーリーや取組をそれぞれの視点で選び表彰しています。政府の後援も得ながら積極的に表彰することで、地域の将来を支える名品とその市場開拓と“地域のファン化”を支援し、地域の活性化を生みだしています。(ふるさと名品オブ・ザ・イヤーHP抜粋)
 

地方創生大賞とは

 それぞれの名品・名品をめぐる人材・取組が、どれだけ地方の変革に向けた機運を醸成し、その実現に成功したかという観点から選考・表彰する賞。2020年度は「名品部門」「交流コンテンツ部門」の2つのカテゴリから、新たに「モノ(名品)部門」「コト部門」のそれぞれに地方創生賞を用意し、各カテゴリの最高位を地方創生大賞といたします。

『長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト』が 都市景観賞 優秀賞を受賞しました(2021.06)

 

受賞品名:山口県長門市深川湯本地区(長門湯本温泉)
長門湯本温泉観光まちづくり推進会議、長門湯本温泉観光まちづくりデザイン会議)
 

審査講評

対象地区は山口県の日本海に近い山あいの小さな温泉街である。地域再興のため、外部の著名人等を呼び込み再整 備を進めるといった方法は良くみられるものの、そういった方法で成果を挙げられる場所はある程度限られるように 思うのだが、当地区は少し状況が異なる。一つは全国温泉地のトップ 10 入りを目指す、というややとてつもない目標が掲げられていることである。それが外部の有能な人々を惹きつけ、地域の力にしたのではないかと思える。また全国で活躍しているこの外部の人たちの多くが、自ら資産を持つという形でこの取り組みに参加している状況にも着目される。計画や作られた景観について評価すべきは、思い切った計画を躊躇なく実行したこと、といえるだろう。当初描かれた全体構想は、対象とされた土地の範囲を超え、 温泉街の他の人の土地にも遠慮なく描かれ、そして実行された。そしてかなり手の込んだ照明計画もまた、実行され た。総じてデザインは高いレベルを保っているものの、一部にはやや疑問を持つ解答も含まれる。しかしながらそれを超える充実されたソフト面での取り組みと成果も含め、優秀な取り組み例として評価した。(補足:導入植栽の地元植生への配慮についてコメントがあったようです。)

 

都市景観賞とは

 国土交通省による賞。 公共的空間と建物等が一体となって良質で優れた都市景観が形成され、市民に十分に活用されている地区を対象にした「都市空間部門」と、地域に関わる人々が景観に関心をもち、自らの課題として捉え、その解決に向けて活動できるよう意識啓発、知識の普及、景観制度を活用した取組等による活動を対象にした「景観まちづくり活動・教育発部門」の2つの部門で表彰を実施しております。  また、国土交通大臣賞である「大賞」のほか、「都市景観の日」実行委員会会長賞として、 「特別賞」及び「優秀賞」があります。(国土交通省HP抜粋)

 令和3年度都市景観大賞 受賞概要(国土交通省)

 

プロジェクトの詳細は、まちづくり雑誌「造景2020」(学芸出版社2020.8発行)でも特集記事20ページで詳しく紹介されています。

川原研(大学院)で研究を希望する方へ

  • 受験前に必ず相談しに来てください。(ビデオ会議も可能です)。
  • 観光に関わる簡単な研究計画書をEメールで送付ください。
  • 大学院の合格前に、研究生として受け入れることはしていません(学科方針)。
  • 受験の詳細は観光科学域HPをご覧下さい。夏試験(8月)、冬試験(2月)があります。