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d-COCOON (design core of cocreation orchestrating new-eras)


■ Background
近年、国際受注における提案力の伸び悩みや人工物の飽和,新興国の急伸とコモディティ化、環境問題の深刻化等の問題が国際的に発生しています。さらに国内では、市場の減少や技術伝承・後継者不足・少子高齢化の進行、不採算事業の縮小と弱体化、大規模自然災害の頻発・高度成長期インフラの老朽化も問題視されており、そのためビジネス状況は当面の厳しい状況の継続が予想されます。また、日本製造業は、高度経済成長などを経て、卓越した品質や高度な生産性を実現する能力を得た一方、知識創造のメカニズムや創造に必要なノイズコントロールの方法を失いました。

東京都は多くの企業が集中する産業中枢であり、我が国のGDPの約2割強を担っています。都はその実行プランにおいて、都内GDPの拡大を目標として掲げていますが、その実現には在都企業の活性化、生産性向上、高付加価値化の実現が必須の課題です。一方で、情報通信業を含む第3次産業が急成長するなど、産業構造に大幅な変化が生じており、既に日本全体のGDPの約1割を情報通信業が担うなど、産業のサービス中心化が急速に進行し、日本全体の情報通信業GDPの5割超を在東京企業が占めています。当研究室は、以上の社会・産業構造の変化に対応し、高まる社会的要請に応える手段として、サービスの生産性向上と、製造業のサービス化という二つの観点が重要であると考えています。

しかしながら、単に情報や知識を提供するだけの一方向型の企業教育をもって、戦後の高度成長を経験し、モノに比してサービスに対する設計意識が未だに低い日本企業の意識を改革し、サービス生産性の向上と製造業のサービス化を実現することは困難です。当研究室は、サービスの生産性向上と、製造業のサービス化を具体的に推進するために、サービス工学に基づく企業育成手法を用いて、都内におけるオープンイノベーションと高い創造性と競争力を有するビジネスインキュベーションの場と人材育成プログラムであるd-COCOON(design Core of Co-creation Orchestrating New eras)の提供を提案しています。

■ Overview of the d-COCOON
d-COCOONは、IDEOとスタンフォード大学によるdesign thinking(「創造的な設計」を目指す設計思想)に対して、サービス工学手法の投入し、設計対象を広義のサービスに拡大した新しいデザインスクールです。その設計にあたっては、東京における新ビジネス創出の場、産学連携型ビジネスインキュベーション拠点としての役割を強く意識しています。

d-COCOONでは、日本の新たな基幹産業であるサービス産業の一層の高付加価値化と、製造業の厳しい状況を打破する手段としての「製造業のサービス化」を二つの達成目標として、賛同企業と首都大学東京の強固な連携のもと、広義のサービス設計に携わる人材の対して、価値共創の場を提供するための活動を実施し、「企業協業による価値共創の支援」と、「今後の価値創造を担う人材に対する実学的教育」を同時に実現しています。

■ Context-centered design
d-COCOONは、「コンテキスト中心設計」を重視しています。コンテキスト中心設計とは、文脈の理解と創出に重きを置いた設計のことです。文脈価値は、製品サービスが使用され消費される過程において、提供者と受給者が相互に作用し協力することによって共創されます。この文脈価値を高めるためには、PSSの提供者と受給者が互いの文脈と必要な知識を共有し、理解し、使いこなすことが必要です。

我々がコンテキスト中心設計を重視する理由はこの点にあります。ナレッジマネジメント分野におけるSECIモデルは、知識創造企業が組織的知識を生み出すための基本的な仕組み、すなわち企業の内部戦略を表していますが、SDLの展開と普及により、組織的知識とコンテキスト共有の必要性が提供者の組織に閉じた問題ではなく、提供者と受給者やその他のステークホルダとの間においても同様に求められるようにビジネスを取り巻く状況は変化しました。すなわち、文脈価値の共創にあたっては、関係者によるコンテキスト共有の結果であり、ヒトと社会の存在の基盤となる時空間を含む場所性の概念である「場」の考慮が極めて重要な意味を持つのです。

今後の製造業が実現すべきは、提供者と受給者、造る者と使う者による文脈と必要知識の効果的な共有、すなわち、良質な場を形成することであり、場の良否が、提供者と顧客の間で行われる要求とその充足方法、そしてその結果として共創され獲得される価値の質を決定づけるのです。

■ Design phases
d-COCOONは、Constructivism(構成主義)とConstructionism(構築主義)に注目し、「問題抽出」、「価値定義」、「構造設計」、「ビジネスモデル検討と事業化」、「知識化」からなる5つのPSSの設計フェイズを設定しています。各設計フェイズにおける設計の論理を特徴づける設計手法とツールを配置することにより、d-COCOONの目的である「企業協業による価値共創の支援」と、「今後の価値創造を担う人材に対する実学的教育」を同時に実現しています。

テキスト情報(会員限定)

野中によるSECIモデル



d-COCOONの設計フェイズ


d-COCOON
LAST UPDATED: 2018/08/07 (C) SHIMOMURA LABORATORY