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小笠原研究委員会

東京都立大学における小笠原研究について

本学は、小笠原に研究施設をもつ唯一の大学として、都立大時代を含め45年近い小笠原研究の実績を持ちます。1990年代までは自然系の研究が主流でしたが、近年は人文社会系の研究も活発に行われています。これらの実績を背景に、世界自然遺産である小笠原諸島の自然再生、外来種対策、エコツーリズム振興などの施策にあたりシンクタンク機能をはたしており、本学の教員・研究者が国(環境省、林野庁)、東京都(環境局、小笠原支庁)などの専門委員会のメンバーとして活動しています。

小笠原が昭和43(1968)年にわが国へ返還された直後、東京都立大学の団勝磨総長を団長として小笠原の自然環境調査が行われました。これを契機に昭和45(1970)年度に、東京都総務局所管の総合調査室を借用して都立大学父島研究室が開設されました。この研究室は平成3(1991)年度に総工費約4億6千500万円で全面改築され、平成4(1992)年度に東京都立大学小笠原研究施設として開設されました。また、昭和51(1976)年度に東京都立大学小笠原研究委員会が設置され、父島研究室と小笠原研究施設は同研究委員会により運営されてきました。首都大学東京(2020年4月に東京都立大学に名称変更)設置にともない、小笠原研究施設にかかわる事務所管は理系管理課庶務係に引き継がれ、施設の運営については全学の小笠原研究委員会が継続して対応しています。

研究教育・社会貢献活動の概要

本学の小笠原研究は、各学部・研究科の学生・大学院生、教員や学外の客員研究員・研究協力者などにより、 小笠原研究施設を拠点として実施されています。研究テーマは、固有種を含む小笠原の動植物の系統分類と生態、気候水文環境調査、地形・地質、上下水道に関する水質・水生生物調査、地震活動や地盤に関する調査、ごみや廃棄物に関する環境問題、小笠原の言語文化、自然環境に対する住民の意識調査など多岐に渡ります。近年は、2011年6月に世界自然遺産地となった小笠原諸島の在来生態系に悪影響を与える外来生物の対策や自然再生、自然文化エコツーリズムの振興などに貢献する調査研究が、科研費や環境省、東京都からの外部資金等を得て組織的に実施されています。

小笠原研究の成果は、村民や観光客を対象とした現地講演会、施設内の展示ホールでの展示や各専門学会の学術雑誌への発表のほか、小笠原研究委員会が編集発行する 「小笠原研究年報」や「Ogasawara Research」により、大英博物館など内外の大学・研究機関や行政機関だけでなく地元島民や一般にも広く紹介されています。

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