学生の皆さんへ

卒業研究配属や大学院受験を希望する方へ

ナノ物性研究室への研究室見学の希望や配属・進学の相談は、宮田 准教授(ymiyata[at]tmu.ac.jp, 8号館528室)、中西 助教(naka24ysk[at]tmu.ac.jp, 8号館481室) までメールをお送るか、もしくは居室に直接お越しください。([at]を@に変換)。ナノ物性研究室では、卒研生、大学院博士課程前期、大学院博士後期課程の学生を毎年募集しており、随時、相談・見学を受け付けています。ぜひ実際に居室や実験室などの様子を見たり、スタッフや学生と話してみることをお勧めします。 Zoom等を用いたオンライン面談も歓迎しています。研究室での生活やテーマの内容・決め方・進め方、学会での発表について、海外での研究、奨学金、大学院試験や卒業生の進路など、研究室の学生と話してみたい、など気になることを気軽に相談してもらえればと思います。

研究テーマは、原則一人一テーマで行い、各人の興味や適正などを考慮し、相談して決めています。テーマは、物質開発から物性測定(光、電気伝導、熱電.圧電/光電変換、構造解析、など)まで多岐にわたります。居室には各自に机と研究用のPCがあり、研究に取り組みやすい環境を整えています。

研究成果は卒業論文や修士/博士論文としてまとめ、卒論・修論・博論発表会で発表して頂きます。 研究が進展した場合は、様々な研究会、学会(日本物理学会、フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会、応用物理学会、等)や国際会議などでの口頭・ポスター発表や英語での論文執筆を行うこともあります。学外での発表は、研究室生活ならではの経験ができる貴重な機会でもあり、まずは発表してみるこをお勧めしています。

その他に、自分の研究活動をまとめ、そして発表する能力の育成を目的として研究テーマの進行状況についての発表を定期的に行っています(グループミーティングでは週1、研究室ゼミでは年4回程度)。分かりやすい資料の作成や説明このプレゼンテーションの能力は、研究以外の様々な場面でも役に立つと思います

また、物理学専攻の表界面光物性や、国内外の様々な大学・研究所と新規ナノ材料に関する共同研究を盛んに行っています。物理に限らず、様々な分野の研究者・学生との交流を通じて視野を広げ、研究を自由に楽しんで欲しいと考えています。

大学院物理学専攻の説明会では、研究室訪問もできますので興味のある方は参加してみてください。詳しくはこちらのページを参照ください。毎年6月上旬に開催されます。

ナノ物質の魅力:未開拓の研究領域、多彩な新物質

カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン、などナノメートルサイズの構造を持つ物質の魅力は、これらのナノ構造に閉じ込められた電子の不思議な振る舞いや、物質のすき間に別の物質を挿入したり、複数のナノ物質を組み合わることで、新しい性質・機能を実現できる点にあります。近年、このようなナノ物質の合成や構造制御、計測技術が急速に進展し、それに伴って新たな研究分野が凄まじい勢いで開拓されているのが特徴です。最近ではほぼ毎週のようにNatureやScienceといった雑誌に研究成果が報告されています。

私たちがチャレンジしているナノメートルサイズの物質系は、化学、物理、生物、工学など様々な学問分野が出会う学際的な分野であり、今世紀に残された非常に重要かつ未開拓の研究領域の1つといえます。 みなさん自身の発案で創意工夫を行い、注意深く、そして忍耐強く研究すれば、きっと新しい発見に遭遇することができます。

実際、私たちの研究グループでの卒業研究や大学院の研究の中に大きな発見の芽が潜んでいました。予想もしない不思議な性質や誰も発見したことない材料なども、実験室の小さな装置によって見つかり、論文として発表されています。 物質科学(マテリアルサイエンス)の特徴の一つとして、大規模な実験施設や高価な装置がなくとも個人の発想や注意力を活かすことのできる点が挙げられます。2010年にノーベル物理学賞の受賞対象となったグラフェンの発見は、ありふれた材料である黒鉛(グラファイト)を粘着テープで薄くするという発想から始まりました。もちろん、大規模施設や高価な装置を使って、未知の物質や現象の追及ができるのも、自由な大学だからこそ味わえる貴重な体験です。

応用への可能性:半導体やエネルギーから医療まで

ナノ領域の物性物理の研究は、まだまだ未開拓の学際領域であるため、その成果は必然的に各方面への応用の可能性を含んでいます。

例えば、カーボンナノチューブや二次元物質の「すき間」は、ナノサイズの輸送系として注目を集めています。 同程度の直径を持ったチューブ状空洞は、生体内にも存在しており、水素イオンや水などの輸送を制御して生体機能の発現に重要な働きをしており、その理解に貢献できるかもしれません。他にも、ナノ空間を作った新物質合成や分子を選別するふるい、そしてリチウムイオン電池等のエネルギー応用まで関連する幅広い研究テーマともいえます。

また、カーボンナノチューブ、そしてグラフェンや二硫化モリブデンなどの二次元物質は、半導体やエネルギー分野への応用そして医療応用まで幅広い分野での応用が注目を集め、世界中で盛んに研究されています。一方で、現状では、物質自体の結晶性にも不純物や欠陥が多いなどの課題が多く、本来の性能がどの程度あるのかも良くわかっていない部分も多いです。基礎研究としても、未だ充分に面白い研究対象です。

私たちは、物質やデバイス構造の作製、その構造や性質を調べる基礎的な物性測定と解析、電子顕微鏡での原子像の観察、などの実験的な研究を中心に行いますが、共同研究では走査プローブ顕微鏡、計算機を使った物性の予測、電子デバイス、光デバイス、熱電変換、水素発生触媒、生体イメージングなどを専門とする研究者など、分野横断的な交流が盛んにあります。ナノ物質の研究は、研究を通じて新しい現象や応用に興味を持てる機会が多いように思います。また、既にカーボンナノチューブがスマートフォンのタッチパネルに使われた例もあり、今後身の回りの様々なデバイスや、ひょっとしたら薬などにも自分が研究した物質が使われていく可能性があります。

ぜひ一緒にナノ物性研究室で新しい研究を見つけ、そしてサイエンスを存分に楽しんでみませんか。進学に関する見学・相談等いつでもお待ちしております。

主要な発表論文(英語)とプレスリリース

新しい無機ナノファイバーを作る(発表論文) (プレスリリース:都立大AIST名大筑波大阪大

二次元半導体のつなぎ目で光を作る(発表論文)(プレスリリース:都立大名大京大

二次元物質を曲げて光の性質を操る(発表論文)(プレスリリース:都立大名大

直径3原子程度のナノ細線の大面積合成(発表論文)(プレスリリース:都立大AIST名大筑波大EulekAlert!

二次元半導体を自在に繋げる(発表論文)(プレスリリース:都立大筑波大EulekAlert!

二次元半導体のつなぎ目をみる(発表論文)(プレスリリース:都立大筑波大。)

インタビュー記事など

2.5次元物質科学 ニュースレター第4号 「二次元物質を繋げる、重ねる」

TECH-MAG 研究室レポート この研究が未来を創る vol.05 取材日:2020.02.05 未来の半導体素材「究極の薄さを持つ二次元半導体」

ナノの世界で見つけた大発見とは? 東京都立大学 理学部物理学科 中西勇介助教

【Miyacology SPECIAL】知的好奇心の積み重ねが実用化につながる基礎科学で未来を拓く~サイエンスのすすめ~

ナノサイエンスや電子材料に関するおすすめの本

ナノカーボンの科学(講談社ブルーバックス) 著:篠原 久典

フラーレン・ナノチューブ・グラフェンの科学;ナノカーボンの世界(共立出版) 著:齋藤 理一郎

高校数学でわかる半導体の原理―電子の動きを知って理解しよう (講談社ブルーバックス) 著:竹内 淳

青い光に魅せられて―青色LED開発物語(日本経済新聞出版) 著:赤崎 勇

新しい物性物理(講談社ブルーバックス) 著:伊達 宗行 

更新日:2023/3/19

東京都立大学理学部物理学科/大学院理学研究科物理学専攻 

ナノ物性研究室

〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1

Nanoscience Research Lab.

Department of Physics, Tokyo Metropolitan University

1-1 Minami-Osawa, Hachioji-shi, Tokyo, Japan 192-0397


E-mail : ymiyata[at]tmu.ac.jp

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