セラピストにむけた情報発信



スポーツ心理学会第36回大会の運営を終えて



2009年12月7日

11月21-23日に開催された日本スポーツ心理学会第36回大会・スポーツメンタルトレーニング指導士研修会の運営を終えました.

学会終了から本ページにおける報告にいたるまで,2週間もの時間を要してしまいました.学会開催日を過ぎても,運営事務局には様々な残務整理があり,簡単に運営業務から解放してはもらえません.加えて,学会業務に専念するために手がつけられなかった膨大な業務が,「早く仕事をしろ」と言わんばかりに机に積み上がっており,この2週間はこれらの業務に没頭する毎日でありました.

21-22日の本大会には370名余りの参加者がありました.期間中は103題の一般演題,7つのシンポジウム,および外国人による特別講演があり,各セクションでは活発な議論がなされました.

私は大会事務局長という大役を仰せつかり,約1年にわたって大会運営にあたりました.本大会の運営にあたり,大会委員長の今中國泰先生から指示を受けたのは,ただ1つ,「小さな大会組織で運営しなさい」ということでありました.その背景には「400人規模の学会であれば,小さな組織で運営可能であり,それを示すことで,今後の学会運営を一部の強力な研究室に任せず,全国の大小様々な研究室が運営する礎とする」という,今中先生のご構想がありました.

この構想をできるだけ忠実に実行するため,運営スタッフは本学研究室の現職スタッフと修了生にできるだけ限定しました.これに,過去の学会運営経験がある桜美林大学・清水安夫先生はじめ学生の皆さま,および東京工業大学の島本好平先生を加え,大会組織を完成させました.

実際に運営を始めてみれば,確かに大会準備の様々な過程は,少人数で運営した方がスピーディーに仕事を進めることができて,かえって効率が良いと感じることもありました.基本的に直前の1か月を除けば,3名の教員のみで運営業務のほぼ全ての業務をおこないましたが,役割分担が非常によく機能したため,我々なりにベストなスケジュールで仕事を進めることができました.

事態が豹変するのは,直前の1-2カ月です.事務局長としての私仕事は大会2か月前から劇的に忙しくなり,授業と学会業務をこなすだけで精一杯という日々が続きました.

ここから先は,頼れる院生スタッフが獅子奮迅の働きで,学会運営業務をサポートしてくれました.私たちの研究室の院生は社会人経験者が多いことから,院生とはいえ,皆教員と同レベルで業務を遂行してくれました.私たちが少人数スタッフでも運営できたのは,まさしく院生の働きのおかげであり,この点については,全ての研究室が真似できるわけではないと,勝手に自負しております.

学会運営に携わったことで,私自身の研究活動はこの数ヶ月間完全に停止してしまいました.しかしながら,その代わりに得るものもありました.最大の報酬は,研究室全体の連帯感です.ある集団が苦しみを共有してそれを乗り越えたとき,言葉で表現しがたい仲間意識が生まれることがあります.学生時代の部活動などではそのような仲間意識を強く感じますが,社会人になって以降,こんなにも強い連帯感や仲間意識を感じたのは,これが初めてです.もともとスタッフ同士の仲が良いのが私たちの研究室の売りの1つですが,今はそれ以上に深い絆のようなものを感じます.

また学会運営を通して,私たちの研究室の存在をスポーツ心理学会員の皆さまにご認識いただけたことも,大変良い財産であると考えております.現在のところ,私たちの研究室にはリハビリに携わる院生が多く在籍しております.今後スポーツに関わる院生がもっと増えて,ゼミで良質の異種格闘技戦を繰り広げてくれたらよいなというのが,私の秘めたる想いです.こうした異種格闘技戦は,分野外の人とも対等に議論できる能力を多面的に鍛えてくれると考えています.今回の活動がこうした広がりのきっかけとなれば良いなと,5年後の研究室の様子を妄想しつつ,未だ残る学会運営業務に奔走している次第です.




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