セラピストにむけた情報発信



メンタルローテーション課題と理学療法:
山田実氏(京都大学)との共同研究成果




2009年6月9日

手の写真刺激を用いたメンタルローテーション課題が理学療法に有用である,という研究成果が,雑誌に採択されました.

  • 山田実、樋口貴広、森岡周、河内崇 (2009) 肩関節周囲炎患者における機能改善とメンタルローテーション能力の関連性.理学療法学.印刷中
  • 山田実、樋口貴広、森岡周 (2009) 肩関節周囲炎患者における簡易型メンタルローテーション介入の効果.理学療法科学.印刷中

2つの研究はいずれも,昨年度より京都大学の助教として活躍されている山田実氏が,坂田整形外科在職中に,臨床の現場で苦労して測定されたデータを論文化したものです.私自身は,このデータを正しい形で論文化することををサポートをする,という立場で共著者に加えていただきました.

最初の研究は,「リハビリテーションによって整形外科的疾患が回復すると,メンタルローテーション能力も向上するか」を検証することが目的でありました.内容の詳細については,過去のページをご参照ください

2つめの研究は,パソコンを使わずにできる非常に簡便なメンタルローテーション課題を提案した上で,肩関節周囲炎患者がリハビリの期間に継続的にこの課題に取り組むことで,リハビリの効果が増したことを報告しています.

共同研究といえば,通常は研究計画の立案の時点から深く研究に関わります.山田氏との共同研究の場合,既に測定済のデータに対して,その成果発表をお手伝いするというスタイルでありましたので,いつもとは違ったサポートが求められました.

実はこの打診を受けた時,山田氏とは一度も面識がなかったので,少し戸惑いました.しかしながら,実験データが非常に興味深く,またリハビリに携わる方に大変有用なメッセージが発信できるという確信が持てたことから,サポートをお引き受けすることにしました.山田氏は,短期間の中でこちらの意図を正確に理解し,論文に反映する能力に優れており,論文化を通して大変充実したやりとりをすることができました.

今年度から,山田氏との新たな共同研究がスタートしました.この研究は,科学研究費(若手B)に採択されました.

「転倒予防のための複数課題条件下での注意運動介入法の開発」(若手研究B,代表者:山田実,平成21-22年度)


先日,PT学会の合間に,この科研費に関する研究計画について議論しました.既に山田氏は,臨床の現場で大変興味深い現象を観察しており,この現象をできるだけ詳細に数値化しようということで,大いに盛り上がりました.できるだけ早いうちに成果がご報告できればよいなと思っています.




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