セラピストにむけた情報発信



Especial skillsを生み出す練習のタイプ:constant VS variable practice
(Breslin et al 2012)




2018年12月10日
ここ最近,Especial skillsに関する論文を連続して紹介しています。Especial skillの好例がバスケットボールのフリースローです。いつでも同じ条件で何度も練習することで,その条件でのパフォーマンスだけが,他の条件(シュート距離や位置を少し変えた条件など)でのシュートよりも成績が良くなります。こうしたスキルを,Especial skillsと呼んでいます。そのほかの論文紹介はこちらをご参照ください

今回ご紹介するのは,ある動作をEspecial skills化するためには,一貫して同じ動作を繰り返す(constant practice)のが早道だということを示唆する研究です。

Breslin G et al. Constant or variable practice: recreating the especial skill effect. Acta Psychologia 140, 154-157, 2012

対象者はバスケットボール未経験者です。Especial skillsを扱う研究は,通常そのスキルの熟練者を対象とするのがほとんどです。未経験者でもある一定の練習量で動作をEspecial skills化できるというのが興味深い点の一つです。

対象者は3日間実験に参加し,合計で300試行フリースローを行いました。2つの練習条件があり,参加者はそのいずれかに振り分けられました。Constant群では,300試行すべてでフリースローラインから練習しました。Variable群では,5つの距離から均等に,合計300試行練習しました。

実験の結果,Constant群でのみ,フリースローラインからのパフォーマンスが予測値よりも高くなるという,Especial skills化が見られました。

この実験結果の意義は,バスケット初心者でも,一貫して300試行フリースロー練習をすれば,フリースローがEspecial skills化されるという点にあります。従来,フリースローがEspecial skills化されるのは,選手が長年の練習で何千・何万回と練習することによるとされてきました。しかしBreslin氏らのこの研究は,少なくとも練習直後に行う成績を高めるという点においては,一貫して同じ動作を練習するConstant Practiceが重要な要素である可能性を示唆しました。

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