セラピストにむけた情報発信



本学FDセミナーでの話題提供
(大人数講義における授業設計とアクティブ・ラーニングの考え方)




2018年12月3日
11月29日に,本学にてFD(ファカルティ・ディベロップメント)セミナーが開催されました。今回が20回目という節目のセミナーで話題提供の機会を頂きました。今回は話題提供の概要を報告いたします。

タイトルは,「大人数講義における授業設計とアクティブ・ラーニングの考え方」でした。

現在,様々な大学でアクティブ・ラーニング型の授業が実践されています。アクティブ・ラーニング型の授業とは,学生さんが提供された情報に基づき主体的に考えたり,論理的思考に基づき情報の活用を考えたりするスタイルの授業です。従来型の講義である,教員が一方的に知識を提供するというスタイルとは質を異にします。

アクティブ・ラーニング型授業にフィットするスタイルが,グループワークです。教員が数十分話をしたら,それに基づき学生が3-6名のグループを作り,課題を解決するためのディスカッションをします。最後に,その結果を全体で議論する時間が取られます。

こうした授業は確かに,学生の主体的学びには有効なのですが,大人数が受講する講義への導入は困難です。

私が担当する教養科目「認知と行動」では,過去10年間の平均受講者数が約400名おります(写真は,授業中の一コマです。セミナーにて使用する意図を説明し,同意を得て撮影しました)。ここまで大人数だと,グループワーク型の授業は必ずしも適しません。そこで,見た目の授業のスタイルは従来型とあまり変わりなくても,学生の主体的学びに役立つ授業を展開する,というコンセプトで授業としています。

このコンセプトを実現するのに重要なのが,学生さんから得た情報のフィードバックです。例えば,意欲的な学生向けの課題(全員に提出を求めるのではなく,時間外学習として挑戦したい人だけが挑戦する,難易度の高い課題)を課します。提出率は10%のため,学生のアウトプット自体は多くありません。しかし,この難易度の高いプレゼンに挑戦した成果を,全員の前でフィードバックすると,受講学生にとって非常に良い刺激になります。

「なるほど,そのような発想で課題を解決すればよいのか」という気づきの機会となり,それが次に課す同様の課題への主体的な取り組みの質を向上させると考えています。

当日の話題提供では,提出された学生さんのレポートの実例を紹介しながら,このような考え方の意義について説明しました。

FDセミナーの参加者数は必ずしも多くありませんが,学長・副学長など執行部の先生方も多く参加され,大学としては重要なイベントです。こうした場で発表をする機会を頂戴できたことに感謝する次第です。

 


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