セラピストにむけた情報発信



学会報告:国際生態心理学会@ポルトガル

 


2013年7月16日

7月8日から11日に,ポルトガルのエストリルにて国際生態心理学会が開催されました.

この学会は2年に1回開催される学会です.アフォーダンスやダイナミカル・システムズ・アプローチなどに関する最新のデータについて情報を得ることができます.

通常の学会では,同一時間帯に複数の会場に分かれて発表がなされますが,この学会では150人程度の参加者が4日間全体を通して1つの会場だけで議論するというのが,魅力の一つでもあります.単に発表者の発表を聞くだけではなく,著名な研究者たちが発表データに対してどのようなコメントを残すのかということにも,多くの情報が詰まっているように思います.

今回は,主催者のポルトガルのチームがスポーツに関連する研究をしているということが強く影響して,スポーツ関連の研究が非常に多い(やや多すぎる?)ことが特徴でした.対照的に,リハビリ対象者に関する研究は極端に少なかったように思います.

個人的には,アメリカのWilliam Warren氏がオーガナイズした,集団行動のダイナミクスに関するシンポジウムが非常に魅力的でした.Warren氏は,私たちの研究室における中心的話題である,隙間通過行動の先駆的研究を行った研究者です.

Warren氏自身は,渋谷の交差点のように複雑な状況下で,人が規律的に移動するダイナミクスを知るための実験を紹介していました.20名近い参加者を1つのホール内で移動してもらい,そこでの規律的な行動をシミュレーションとの一致度により評価していくという研究内容でした.

シンポジウム内での他者の研究内容と総合すると,近接する他者との移動速度を合わせながら,移動方向を一致させるといった方略を基軸にして各要素が移動すると,およそ実環境で起こる集団の移動行動を説明できるという印象を受けました.

エストリルはリスボン近郊の都市であり,海岸沿いにあるヨーロッパ有数のリゾート地です。昼はビーチ,夜はポルトガルで一番大きいカジノに多くの人が集まります.残念ながら学会に缶詰めでこうした魅力を十分には堪能できませんでしたが,昼休みにビーチを散歩するだけでも,その魅力の一端を十分に堪能することができました.

     
     
     

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