セラピストにむけた情報発信



国際姿勢と歩行学会(ISPGR)@秋田

 


2013年6月28日

6月22 -26日の5日間にわたり,秋田にて国際姿勢と歩行学会(ISPGR)が開催されました

この学会は関連領域の研究について非常に充実した発表がおこなわれるため,いつも多くの刺激をもらいます.

特に今年は,キーノートレクチャーが充実していたように思います.提供されたキーノートレクチャーは以下の通りでした.
  • 歩行中の頭部や視線の制御を理解し,ロボティクスや臨床に生かそうとする研究(Alain Berthoz教授,France)
  • 猫の障害物回避動作に対するワーキングメモリーや頭頂葉の関与に関する研究(Keir Pearson教授,Canada)
  • 前庭障害に関する脳イメージング研究(Marianne Dietrich教授,Germany)
  • 高齢者の転倒に関する調査研究(Stephen Robinobitch教授,Canada)
  • パーキンソン病患者の歩行制御に関する研究(Jeffrey Hausdorff教授,イスラエル)
個人的には,特にRobinobitch教授のレクチャーが印象に残りました.報告の中では,ある地域に設置した216のビデオカメラに映った日常生活上の転倒の映像から,その特性を測定するという画期的な調査についての報告がありました.

首都大学東京からは,私を含め6名が発表を行いました.皆それぞれに充実した議論をしてくれましたが,特に今回が初めての国際学会報告となった室井大佑と安田真章については,こちらの予想を上回る方々に話を聞いてもらい,とても良い時間を過ごすことができました.

この学会では若手のポスター発表の中から優秀発表賞が送られます.Waterloo時代の私の師匠である故Abtab Patla氏の名前をとり,Abtab Patla賞と呼ばれています.今年度は畿央大学の中野英樹さんが選ばれました.発表題目は,「Effect of plantar perceptual learning task on walking stability in the elderly: a randomized controlled trial」でした.

2年連続して日本人の方が選ばれていることを,とても誇らしく思いました.

私自身も旧友から新しい方々まで,国内外の参加者の方々と充実した交流を楽しむことができました.特に,学会前に招聘したMichael Cinelli氏の院生とは,研究テーマが非常に近いこともあり,有益な情報交換をすることができました.

主催に当たりました秋田大学のスタッフの方々の粋な計らいにより,参加者が秋田の竿灯やなまはげを楽しめるなど,秋田の魅力を担当できる学会でした.

本来2年前に開催される予定でしたが,震災の影響でこの時期の開催となりました.主催の方々にとっては実質的に2度目の学会準備であり,相当なご苦労があったことと推察いたします.心よりお礼申し上げます.

次回は来年6月末よりカナダのバンクーバーにて開催が予定されています.

   
 Mike Cinelli氏らWaterloo近郊からのスタッフとの交流  樋口研から参加した院生4名

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