セラピストにむけた情報発信



活動報告:本研究室主催ワークショップ
「Perception-action dynamics of human behavior」
 


2013年6月21日

6月19日に私たちの研究室が主催するワークショップ「Perception-action dynamics of human behavior」を開催いたしました.当日は私を含め3名のスピーカーが発表をしました.

詳細はこちらをご覧ください

今回は外国からの招聘者である,カナダのWilflid Laurier University助教(7月より准教授)のMichael Cinelli氏の発表内容についてご紹介します.

発表では障害物回避に関する一連の研究成果について紹介してもらいました.

一般に障害物回避の研究では,対象とする回避動作が1つに絞られます.

たとえば障害物のまたぎ動作や隙間通過時の体幹回旋行動などを対象として,その動作が障害物の特性によりどのように変化するかを測定します.こうした研究はいわば,「障害物の高さが●㎝だとまたぎ動作時のクリアランスの高さは●㎝」といった動作のパラメータを扱う研究となります.

これに対してCinelli氏の場合,ある隙間を呈示した際に,その隙間を通り抜けるのか,それとも迂回するのかという,回避動作の選択に着目した研究をしており,この点がとてもユニークかつ実践的還元性が高いと言えます.

一連の研究の結果,呈示された隙間の大きさが肩幅の1.4倍以上であればその隙間を通り抜け,それ以下ならば迂回するといった法則を明らかにしました.

またCinelli氏は,高齢者がこうした回避行動を若齢者と同様に適切に選択できるのかということについても様々な研究を行っています.

高齢者と若齢者を比較した一連の研究を概観すると,高齢者は若齢者に比べて回避時の安全マージンを大きくとるような行動の違いがみられるものの,結果として若者と同様に安全な回避が可能であるという印象を受けました.つまり,少なくとも転倒リスクの高くない高齢者であれば,加齢に伴うバランス能力の低下を考慮したうえで,安全な行動が選択されているようです.

同じ実験を転倒リスクの高い高齢者に行った場合でも,安全な選択ができるのかという問題が,個人的には興味深い今後の問題であると感じました.

 



明日から秋田で開催される国際姿勢と歩行学会に参加します.研究室のスタッフ3名(川崎翼,室井大祐,安田真章)と一緒に参加する予定です.

いつもこの学会ではとても良い刺激をもらい,またとても大事な人のつながりができます.今年もどんな刺激や出会いがあるか,とても楽しみです.6月28日以降,このページでもその様子をご紹介する予定です.


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