セラピストにむけた情報発信



日本心理学会ワークショップ「身体化された精神-動きから意識を考える-」




2012年9月14日

9 月11-13日に,専修大学にて日本心理学会第76回大会が開催されました.

私自身は「身体化された精神-動きから意識を考える-」というワークショップに話題提供者として参加いたしました.ワークショップ関係者は以下の通りです.

企画者:高瀬 弘樹(信州大学)・菅村 玄二(関西大学)
司会者:菅村 玄二(関西大学)・高瀬 弘樹(信州大学)
話題提供者:池上 高志(東京大学)・樋口 貴広(首都大学東京)
指定討論者:三嶋 博之(早稲田大学) ・春木 豊(早稲田大学)

ワークショップの企画趣旨はこちらをご覧ください.

私自身は「移動性空間の身体性認知」というタイトルのもと,歩行中の隙間通過行動のデータを中心に発表を行いました.前進移動をしながら,歩行空間が身体との関係性という情報単位で知覚され,適切な行動が選択される過程について紹介しました.

もう一人の話題提供者である池上高志は,ご専門が物理学の研究者です.

クオリアのような主観的感覚について,たとえば数多くの触覚刺激のなかから,「ざらざら」した感じに近い刺激を選んでいくという作業を行い(ジェネティック・アルゴリズム),最終的に本人の「ざらざら」感に近い刺激を作った後,その間隔を他者と共有するといった実験が紹介されました.発表全体を通して,身体性とは何かという本質的な問いに答えようという意思の伝わるご発表であり,ディスカッションでも活発な議論がなされていました.

会場には予想を上回る参加者がいらっしゃいました.どのような反応を持たれたかについて未知数ですが,こちらとしては心理学領域の研究者に歩行研究の概要を紹介できたという意味で,一定の成果がありました.お誘いくださった高瀬氏と菅村氏に感謝申し上げる次第です.
_______________________

今年の日本心理学会では,Rizzolatti氏やPascual-Leone氏など,著名な海外研究者が多く招聘されたこともあり,例年にも増して良い情報交換の場となりました.


(メインページへ戻る)