セラピストにむけた情報発信



2012年度運動学習研究会




2012年6月18日

6月16-17日に,本年度の運動学習研究会が開催されました.多くの参加者が体育・スポーツ系であることもあり,リハビリ関係者の参加は1割程度でしたが,リハビリにも関係する発表もいくつかなされました.

発表者の中には,今年の8月に本学オープンユニバーシティ講座をご担当いただく,理学療法士の豊田平介氏(普門院診療所,PT)がいらっしゃいました.「脳性麻痺児の立位姿勢制御の検討」というタイトルのもとで,両下肢に麻痺が強い幼児を対象とした姿勢動揺測定に基づくデータを発表されました.

主たる研究成果としては,閉眼の状況で自然立位(前を見て楽に立つ)と調整立位(できるだけ揺れないように立つ)とを比較すると,調整立位のほうがかえって姿勢動揺が悪くなるということでした.

調整立位のほうが自然立位よりもかえって動揺が高くなるという結果は,個人的には驚きましたが,豊田氏によれば,健常成人でも“開眼”時にはこうした結果が得られるそうです.立位姿勢制御は,意識的な制御が難しいということでしょうか.脳性麻痺児の場合,この傾向が“閉眼”時にのみ生じたということがポイントということで,今後こうした原因についての検証がなされるようです.

東北大学からは倉松由子氏(PT)が,「片マヒ者の知覚運動制御の特性」というタイトルにて発表されました.片麻痺患者さんたちの立ち上がり動作を対象に視覚情報の制限が及ぼす影響について検討されました.

今回は途中経過報告ということで,その結果をここで触れることは控えますが,倉松氏が同一の課題を健常者を対象に行った研究が,Gait and Postureに掲載されたとのことで,この成果との比較検討が今後なされることと思います.

本学からは,修士1年の安田真章君(PT)が発表をしてくれました.発表内容は,「隙間通過時の状況判断能力を向上させるための介入方法の検討」というものでした.事前の準備をしっかりとおこない,持ち時間30分の中で発表時間を15分間にとどめることができた結果,非常に多くの方々からの意見をもらうことができました.これは今回のプレゼンの指導において私たちが目標としたことの1つでしたので,安田君にとっては良いステップアップの機会になったと思います.


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