セラピストにむけた情報発信



訃報:David Winter氏




2012年3月7日

カナダにあるWaterloo(ウォータールー)大学の名誉教授でありました,David Winter氏の訃報が届きました(2月6日永眠,享年81歳).

Winter氏は,バイオメカニクス研究の礎を築かれた研究者の一人です.Winter氏の著書「Biomechanics and motor control of human movement」は,世界中で教科書として利用されています.

姿勢制御や歩行に関するバイオメカニクス的アプローチについて,数多くの情報を提供したほか,地元の企業とタイアップして動作を三次元的に解析する装置の開発にも多くの貢献をされました(OPTOTRAK, Northern Digital Inc.)

より詳細な経歴はこちらをご参照ください

私がWinter氏にお会いしたのは,2004年10月~2006年2月までWaterloo大学に客員研究員としてお世話になっていた時です.当時既にWinter氏は定年退官されていましたが,執筆活動などのために時折大学に足を運ばれていました.

Winter氏について最も印象に残っているのは,Waterlooの大学院生たちが高齢者に関する研究をする際は,実験対象者として実験に参加していたことです.名誉教授が自ら率先して実験に参加するという姿は,日本ではあまり見られない光景と思います.

Winter氏は大学院生の実験に積極的に参加することで,彼らがどのような目的で実験をしているかについて理解し,さらには最近の高齢者研究のホットな話題が何であるのかを常にアップデートしようとしていました.実験終了後になされた,Winter氏と実験者である大学院生との議論は,いつも長時間になりました.こうした議論の持つ教育的な効果は計り知れません.

今年6月に開催される国際姿勢歩行学会(ISPGR)では,何らかの追悼イベントが行われるものと思います.その状況はまた学会後に報告いたします.

謹んでご冥福をお祈りいたします.

     
 David Winter氏(左)と私の恩師であるAftab E. Patla氏(2007年逝去).2005年6月撮影
   著書に記していただいたWinter氏のサイン



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