セラピストにむけた情報発信



東京学芸大学・奥住研究室との交流
 



2011年10月31日
本日は,10月27日に実施した,東京学芸大学の奥住秀之准教授の研究室と私の研究室との交流イベントについてご紹介いたします.

奥住先生は,教育学の観点から運動制御に関わる研究をしています.現在は主として障害児教育に関わる問題をベースとして研究をされています.

交流会には,私の研究室のスタッフ全11名と,奥住研究室の3名+奥住先生とゆかりのあるポスドク研究1名の,全15名が参加しました.各研究室から3名の発表を行いました.

【樋口研究室】
  • 樋口貴広「研究室紹介:知覚認知と運動の不可分性」
  • 安田和弘(D3,理学療法士)「 身体感覚の認識が静的立位姿勢制御に与える即時的効果の検証 」
  • 渡邊塁(D2,理学療法士)「模倣モデルの観察視点の違いが模倣動作に及ぼす影響の検討」

【奥住研究室】
  • 池田吉史(D1,学術振興会特別研究員DC)「認知課題に対する足踏み運動の影響」
  • 平田正吾(D3,学術振興会特別研究員DC)「知的障害児における運動と認知の共通性」
  • 北洋輔((独)国立精神・神経医療研究センター,学術振興会特別研究員PD)「自閉症スペクトラム障害児における社会的刺激の入力と処理」


奥住先生と私はともに東北大学出身です.出身学部は奥住先生が教育学部,私が文学部と異なりますが,私にとって奥住先生は,苦しい大学院生時代を温かい目でサポートしてもらった先輩として,特別な存在です.

前述のとおり,私の大学院時代は全く成果の出ない、苦しい時代でありました。

私の専門である実験心理学では、人間の行動反応から知覚・認知機能を厳密に探るために、反応させる際の身体の動きを可能な限り拘束し、行動反応に運動性のノイズが入らないようにするのがセオリーです。

当時から人間の動作に興味があった私は、このセオリーとは逆に、運動の拘束をできるだけ避けた状況下で、動作解析に基づく研究を行っていました。今にしてみれば、こうした研究はよほど優秀な研究者でないと、心理学の主流研究に仕上げることはできません。当然の結果として、私の大学院時代の研究が実験心理学領域で注目されることはありませんでした。

こうした苦しい状況の中で、ある学会でポジティブなメッセージをくださったのが、奥住先生でした。その学会から10年以上の月日が流れ、決して頻繁に会う機会があったわけではありませんが、私にとっては常に特別な存在です。

このように大学院時代を振り返ると、現在の自分が10名ものスタッフと一緒に研究し、奥住先生と研究交流をしていることが、とても幸せなことだと自覚できます。小さな規模の交流会でしたが、今後につながる大きなエネルギーをもらいました。


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