セラピストにむけた情報発信



環境の中で統合される身体感覚
(月刊トレーニングジャーナル特集)




2011年9月6日
月刊トレーニングジャーナル9月号の特集として,身体感覚に関する論文が掲載されました.内容はここ1-2年の主張と変わりないのですが,インタビューされた内容の文章化ということで,他者の視点から文章が書かれている点で,いつもとは少し違ったタッチで文章が構成されています.

樋口貴広.環境の中で統合される身体感覚.月刊トレーニングジャーナル2011年9月号.19-22.

主な内容は,身体感覚という主観的体験が必ずしも身体の客観的状況を正確に把握しないことや,潜在的に運動に利用されている身体情報は,環境との関係性において知覚されている部分があることに関する解説です.

今回はインタビューに基づく内容ですので,口語調で書かれています.一般のスポーツ選手や指導者の方々にもわかりやすく解説するというのが,主たる狙いです.

また今回は,私が話したことをインタビュアーがどのように理解したかという視点で文章が書かれています.いつもとは若干違ったニュアンスで表現されている文章もあり,私自身が自分の主張を客観視するうえでも良い経験になりました.

インタビューの最中には,関連する話題について雑談をしたのですが,こうした話題のいくつかが,囲み記事として論文の中に掲載されていました.掲載された内容は,学術論文の中ではあまり書かない内容ですが,こうした記事が理解を促す一助となれば幸いです.

特集号の中では,スキーのエアリアル競技や,デュアスロン(ラン,バイク,ランの順番で行われる持久系競技)など,特殊なスポーツゆえに身体感覚に関して大変興味深い解説がなされていました.その内容自体が面白かったのですが,純粋に学術的な立場から書かれた私のコメントとの共通性などが垣間見えたことが,深く印象に残りました.

貴重な機会を下さった,編集部の紀平 晃功氏と浅野将志,および仲介役を担ってくださった京都大学の山下大地氏にに深く感謝いたします.


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