セラピストにむけた情報発信



Jeffrey B Wagman氏の来日,そして地震




2011年3月15日

東北地方太平洋沖地震で亡くなられた方々のご冥福を,心よりお祈り申し上げます.

私も妻も,ともに仙台出身です.

ここしばらくは家族や友人の安否確認に奔走いたしました.思い出のある地が無残な姿になっているのを目の当たりにして,言葉が出ません.被災地の早急な復旧・復興を祈念しつつ,被災地に向けてできるなにかを考える毎日です.

3月6日より2週間の予定で,イリノイ州立大学准教授のJeffrey B. Wagman氏を招聘いたしました.この招聘は,日本学術振興会・短期研究者招聘プログラムのサポートを受けています.

Jeff(Wagman氏の通称)とは5年来の友人関係にあります.私から彼に送った1通のEメールから,二人の関係が始まりました.彼が私の論文(Higuchi et al. 2004; J Exp Psychol Appl)を積極的に利用してくれていたことに感激し,感謝の気持ちを示すために,メールを出しました.

Jeffからの返信によれば,実は彼がこの論文の査読者であり,それで内容をよく理解していて,自身の論文で積極的に引用してくれたとのことです.

このやり取りを機に,私たちは2007年および2009年の国際生態心理学会(ICPA)にてシンポジウムを共催するなど,関係を深めていき,今回の招聘に至りました.

来日してからの5日間は順調に計画をこなしました.学内での講演や院生たちとの交流,さらには東京大学の工藤和俊先生を中心として,東京大学のスタッフの皆様との交流などを楽しみました.

そして11日に,地震がおこりました.

その日Jeffは,一緒に来日していたDawnの帰国を見送るため,成田空港におりました.地震により空港は一時閉鎖となり,二人は36時間もの間,空港に閉じ込められることになりました.

16日には若手国内研究者を交えてのワークショップを用意していましたが,中止にせざるをえませんでした.

これだけの惨状を経験して,Jeffはもう二度と日本には来たくないだろうと懸念していました.しかしJeffは,「地震た嫌いなだけで,日本は大好きだ」と言ってくれました.出会った日本人がみなとても親切で丁寧に接してくれたことが,とても印象深いとのことです.

多少のリップサービスはあるにせよ,こうしたホスピタリティは確かに日本人の素晴らしい点の1つだと思います.被災地での献身的なボランティア活動や,都心での電力需要を減らすための各企業,団体の様々な努力にも,日本人の素晴らしいホスピタリティ精神が垣間見えます.被災地に対する復興支援として,自分自身の中にも存在するはずのホスピタリティ精神をどのように活かしていくべきか,しっかりと考えていきたいと思います.


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