セラピストにむけた情報発信



第2回Human Movement研究会




2011年3月7日

3月4日(金)に,帝京平成大学池袋キャンパスにて,第2回Human Movement研究会が開催されました.

この研究会は,元東京都老人総合研究所・東北文化学園大学にてご活躍された長崎浩先生を中心に,長崎先生とゆかりのある先生方が集まって,議論を交わす場であります.私は昨年度に引き続き,この会に参加しました.昨年度の様子については過去のページをご覧ください

本年は平成帝京大学の衣笠隆先生が世話人となって,全11題目の発表がありました.発表件数が昨年よりも倍増したこともあり,休憩時間もほとんど取らずに熱い議論が交わされました.

発表は,「またぐ・くぐる」といった行為の選択にかかわる知覚判断に関わるものから,エネルギーコストや力学的最適性を考慮した運動制御の考え方まで,身体運動にまつわる様々な話題がカバーされておりました.昨年度に比べて教員レベルの発表が多くなったことも含めて,非常にバランスのとれたプログラム構成になったという印象を受けました.

私自身は「歩行空間の認知:リハビリテーションへの示唆」というタイトルのもと,「隙間通過時における歩行軌道の左右偏向性-注意性要因と運動性要因の検討-」に関するデータと,「歩行中の新たな転倒予測因子の提案-歩行の視覚運動制御の観点から-」に関するデータを,オムニバス式に発表いたしました.

この研究会の恒例行事は,全発表の最後におこなわれる長崎浩先生のご講評です.今年度は,研究会について以下のように講評されていました.

  • 今年度は運動に対する知覚・認知の影響を検討する発表が多かった.こうした心理学的要因を検討する実験は,条件の統制が非常に難しい.しかしながら,だからこそ若いうちにチャレンジして,デザインの工夫をする修業を積んでほしい.

  • 今年度はエネルギーや力学的コストに着目した研究があった.こうした研究では,可能な限り“自然な動き”を探求することが重要である.実験室的に動作を制限しすぎた,生態学的には到底受け入れられないような運動を課すことのデメリットを考えるべきである.

  • 本年度の発表では筋電図を利用した研究はなかった.筋電図は古くて新しい評価法であり,簡便性の割に多くの情報を定量的に示してくれるものとして再認識してほしい.

来年度は札幌にて開催される予定です.研究会の性質上,どの程度オープンな研究会となるかは不明ですが,リハビリ従事者,老年学系研究者,基礎系研究者などがバランスよく集まる場として,とても雰囲気の良い空間であります.来年度もまた多くの人と交流できることを楽しみにしております.

世話人の衣笠先生,また研究会全体のオーガナイザーである東京学芸大学の奥住秀之先生,どうもありがとうございました.

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