セラピストにむけた情報発信



学会報告:京都府理学療法士学会




2011年1月25日

11月23日(日),第21回京都府理学療法士学会に参加いたしました.運営者のおひとりであります建内宏重先生(京都大学)よりお声がけいただき,学会参加の機会をいただきました.

今回は教育講演として,「視覚と歩行:リハビリテーションへの応用可能性」というタイトルにて発表をいたしました.身体運動の問題を考えるにあたって,知覚と認知の問題を不可分に考えることはできない,ということを,歩行の視覚運動制御というテーマを題材に伝えたつもりです.

学会では別の教育講演として,文教学院大学の福井勉先生が「皮膚の運動学」というタイトルにて発表されていました.

福井先生は最近「皮膚運動学」(三輪書店)を出版されたばかりです.「皮膚運動学」というタイトルは非常に斬新な印象を受けます.教育講演においてその骨格となる考え方を拝聴し,このタイトルが持つ意味について,一定の理解ができました.以下は,身体を動かした時の「しわ」に着目することの重要性に関する,私なりの理解です.

身体を動かすと,それに付随して皮膚が動きます.その結果,皮膚にはしわができます.例えば体幹を側方に傾けると,傾けた側の皮膚にしわができて,反対側の皮膚はつっぱります.

福井先生の主張は,身体を動かすことにより生じるしわを取り除く方向に皮膚を動かす介入を行うことで,関節の可動域が高まる,というものです.介入方法として,徒手的方法,あるいはテープを利用してしわを取るといった方法が,実例を交えて紹介されていました.

身体の動きに皮膚の動きが付随することを考えれば,皮膚の動きに関する特性に着目しながら運動療法を行っていくというのは,確かに重要な発想かもしれないと考えされられました.その内容もさることながら,流れるような語り口調で,聴衆の皆様の活気が高まっているのを感じながら,その講演を楽しみました.

客観的に見れば,私が報告した知覚・認知の話題も含めて,身体運動を考えるときに考えなくてはいけない問題が多岐にわたることが,2つの講演を通して示されているように思いました.

また私にとって京都といえば, 研究上の名パートナーであります京都大学の山田実氏の存在が大きいのですが,今回は山田氏の研究室の上司にあたる,市橋則明先生,及び玉木彰先生にご挨拶する機会を得ました.特に市橋先生とは個人的にお話をするお時間をいただき,研究上や教育上の様々なご苦労をお伺いすることができました.京都大学でお仕事をされること利点とご苦労の両面についてお伺いすることで,大学人としても色々勉強させていただきました.




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