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理学研究科物理学

         セルゲイ  ケトフ准教授  ,  PhD

         研究
 

          宇宙論  超対称性と超重力    弦理論と超弦理論, ブレーン, M理論    共形場の理論    非線形シグマ模型

 

研究テーマ

研究室の学生(博士、修士、卒業研究生)研究成果(一部)

卒業研究生に望むこと

研究のための主要図書

オーガナイザーを務めた国際会議

研究機関との提携

研究助成金

指導学生の現在の活動国

 

研究の動機:

全ての基本相互作用(力)を統一する究極の統一理論の探究は、現代高エネルギー 理論物理学における最も顕著で重要な問題である。究極の(すなわち、最も基本的な) 物理理論は、いわゆる素粒子の標準模型を越え、 量子重力を含まなければならず、そして我々の宇宙の起源を説明すべきものである。 統一理論の実用的な重要性は高エネルギー物理学にとどまらない。なぜなら、 それは宇宙物理や凝縮系物理のさまざまな未解決の問題−例えばブラックホールの 内部や初期宇宙の物理、そして強結合の物理−の解決の鍵を与えるかもしれな い からである。良い理論より実用的なものはないのである!

超弦理論は標準模型を越えた物理そして量子重力を記述するものの最有力候補である。 低エネルギーでの我々の世界の物理は真空に依存するのであるが、残念ながら、知られている全ての超弦理論の摂動論的な真空状態は高度に縮退して いる。標準模型と結びつけるためには、非摂動論的な超弦理論の真空を調べなければ ならない。

最近提案されたM理論は知られている全ての10次元超弦理論と11次元超重力理論 を統一するものである。M理論は強結合領域と弱結合領域を関係づける特別な対称性 (デュアリティと呼ばれる)を持つ。M理論の鍵となる構成要素はBPSブレーンと 呼ばれる広がりをもったものであり、それは本質的に非摂動論的な(ソリトン的な) ものである。ソリトン的なブレーンの中には、開いた超弦がその上に端を持つような いわゆるDブレーンと呼ばれるものがある。M理論の基本的な自由度が未知なために、 M理論を第一原理からつくることはまだできていない。それにもかかわらず、 半古典的な方法では、ある種の非摂動論的な補正をBPSブレーンによって取り入れることが可能である。
 

現在の研究計画:

[1] 最近の私たちの研究は超重力理論とその宇宙論への応用についてのものです。超重力理論の枠内において、現在の宇宙におけるダークエネルギーやダークマターの起源及び、初期宇宙における実現可能なインフレーション理論を探ることを主眼としています。また、超重力理論と標準理論を越える素粒子論の関連性や、超対称性の破り方についても研究しています。

[2]超弦理論の低エネルギー有効作用へのある種のインスタントン補正は、コンパクトな 空間(通常はカラビ・ヤウ3次元複素多様体)の中のある平面(サイクル)に巻き付 いた(ユークリッド的な)BPSブレーンによって生成される。M理論における 4次元または5次元時空の低エネルギー有効超重力理論の導出は、この理論における 実際的な問題のひとつである。私のこの問題への取り組みは、可積分系や 複素微分幾何学を基礎にしている。

[3] もう一つの研究計画は、M理論のなかでマクスウェルの電磁力学がどのように一般化 されるべきかを説明すると考えられるM理論の一部分に関するものである。M理論からの強い主張として、マクスウェルの電磁力学の正しい一般化はある種の (非線形の)アーベル的なボルン・インフェルト理論によって与えられるという ことがある。私はこの議論をいくつかのブレーンが重なった場合に一般化したい。 重なりあったブレーン上にはある種の非アーベル的なボルン・インフェルト的 ゲージ理論が実現し、その理論の第一次項は通常のヤン・ミルズ作用で与えられる。 ボルン・インフェルト理論は点電荷のクーロン相己相互作用の制御を可能にするとい う 点で有名である。また、(4次元において)それにはマクスウェル理論と同様な 電磁的セルフ・デュアリティと(ショックウェーブなしの)物理的な伝播が存在する。 実は、ボルン・インフェルト理論はさらに魅力的な特徴をもっている。それは、 電磁場の強さの上限がはじめから組み込まれていることや、全エネルギーが有限の ソリトン的な厳密解が存在することである。さらに、静的なコルプ・ラモン背景B場 を導入した時には、ボルン・インフェルト理論は、いわゆる サイバーグ・ウィッテン写像により、ある極限において平たんな時空での非可換U(1) ゲージ場の理論 と等価となる。アーベル的なボルン・インフェルト作用を超対称化したものは、 部分的な(半分の)自発的な超対称性の破れに関連したゴールドストン・マクスウェ ル 作用と同一視することができ、そのゴールドストン場は破れていない超対称性の マクスウェル(ベクトル)超多重項に属する。様々な次元における超対称 ボルン・インフェルト作用はまた、Dブレーンの世界体積の低エネルギー有効作用 でもある。
 

学生諸君へのメッセージ:

我々は、我々のグループへ参加し、研究計画に積極的に関わりたいとの大志を抱く学生を求めている。 はじめるのは早ければ早い程よい。我々は、理論物理に応用される数学に対して強い興味を持っていて、自分の頭で考える学生を特に激励する。

Conclusion
 

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