---P1 (東京都立大学ロゴマーク) 東京都立大学 ダイバーシティ推進室 ダイバーシティ通信  Newsletter No.33 ☆表紙写真=紅葉の木々越しに光の塔を望む☆ <Contents> P1 2022年度セクシュアル・マイノリティ映画上映会『カランコエの花』 P2 第2回バリアフリー講習会『僕たちはどう働いていくか~バリアフリーな研究室のあり方と大学~』 寄稿『ダイバーシティ推進室を通して』 P3 オープンキャンパス 手話講習会【中級】 都立大KIDS『秋の見学会』 コラム『ダイバーシティとスポーツ』 P4 よるダイバー コラム『ダイバーシティ・ブックレビュー』 2022年度セクシュアル・マイノリティ映画上映会 <カランコエの花>  セクシュアル・マイノリティが抱える問題を、当事者ではなく周囲の人々の目線から描き、2017年の第26回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)のコンペティションでグランプリを受賞した映画『カランコエの花』の上映会&シェアトークを開催しました。  ある高校のクラスで『LGBTについて』の授業が行われたことをきっかけに、クラス内にLGBT当事者がいるのではないかという噂が広まっていく様子を描いた映画を鑑賞したのち、参加者同士で小グループに分かれ、感想を話し合う時間を持ちました。学生だけでなく、教員、職員も同じグループに入り、それぞれの立場からの感想を率直に語り合うことができたようで、会場は非常に盛り上がりました。  各グループからは、もし自分がその場にいたらどうすることができたのかなど、映画の内容から各自が考えたことや、それぞれが印象に残ったシーンの解釈などが共有され、一人で見ることでは得られない、多様な解釈の可能性に気付くことができる時間になりました。  その後、本学人文社会学部の杉田真衣准教授から、セクシュアル・マイノリティの若者を取り巻く現状についての情報提供と、会場からの感想に即した形で映画に関連する解説が行われました。杉田先生からは、『トランスジェンダーに対する配慮は想像できるが、LGBに対する配慮とはどのようなものがありうるのか?』という会場からの問いに対し、『アロマンティック(恋愛感情を抱かない)などを含め、『どんなタイプが好みなの?』など、性別二元論と異性愛を無意識のうちに前提にしている何気ない会話が日々繰り返されること自体が当事者にはつらいので、そうした点に注意することはできるのではないか』という回答がありました。  また、参加者の感想の中から、セクシュアル・マイノリティに関する教育の必要性が指摘されたことに関連して、現状は、教育現場においてセクシュアル・マイノリティに関することが学習指導要領に位置づけられておらず、教育することが難しい状況が説明されました。その他、特に若い世代においては、当事者にもほかの当事者の存在が見えず、孤立しがちであることなど、杉田先生の体験や研究に基づいた情報が提供されました。  参加者からは、『教員を含む他の参加者の意見を聞くことで、一人で映画を観ただけでは得られない視点を得られ、とても有意義でした。』『自分がそれぞれの登場人物だったらどうするだろう、どうするべきだろう、どういう気持ちになるだろうと考えました。』『この映画は一度見たことがあったが、他の人と感想を共有するとまた違う気付きがあった。教員としてどういう対応がベストだったか考えてみたい。』『映画がすばらしく、杉田先生の解説もすばらしかったです。制度の問題だけでなく、個人としてどう対応したら良いのか等聞けてよかったです。『などの感想が寄せられ、従来の講演会形式とはまた異なった成果を見て取ることができました。ダイバ*シティ推進室では、今後とも、さまざまな形式でセクシュアル・マイノリティについて学び、考える機会を提供していきたいと考えています。 (藤山)  ☆写真1=講演会の様子☆ ☆写真2=杉田真衣准教授☆ ☆画像1=ポスター☆*映画『カランコエの花』公式サイトhttps://kalanchoe-no-hana.com/