---P4 <障がい学生支援>  今年度前期は新型コロナウイルスの影響を受けつつも、少しずつ対面での作業が出来るようになり、ZoomやSlackのみならず、コミュニケーションの機会を増やすことが出来ました。  前期の支援では、直接支援は聴覚障がい学生への情報支援が大半でしたが、間接支援業務は、バリアフリーチェック講習会の取りまとめや、言葉の地図の改定作業、それからオープンキャンパスの出展など、パソコン業務以外にも多岐にわたる活動が出来ました。  言葉の地図の改定作業は、今年の2月に行ったバリアフリーチェック講習会に続けて、大学内のアクセシビリティの向上を図るために行われたものです。言葉の地図は、視覚障がいがあり、キャンパスマップの視覚情報によりアクセス出来ない方が、テキスト情報の読み上げによりそれぞれの建物へアクセスできるように整備したものです。例えば、『○○を出て、10m歩くと点字ブロックがあります。9時の方向に曲がり20m歩くと、止まれの点字ブロックがあり、◆◆につきます』などといった情報になっていますが、今回の改定作業はそれらの通路が適切に通行可能であるのかなどをチェックし、必要に応じて新たな経路についても検討しました。  これらの活動は、実際に大学に通学している視覚障がいのある学生の場合は、頭の中に描かれた地図を元に通学するため、あまり重要ではない場合もありますが、来学されたことがない来訪者の方や、これから新たに入学を希望する視覚障がいのある学生にとって非常に重要な情報となります。今後もこれらの情報は随時アップデートしていく予定であり、バリアフリーチェック講習会の成果と共に大学の内外に発信をしていく予定となっています。ご関心のある方がいらっしゃれば、是非当室までお声がけください。よろしくお願いします。(益子) ☆写真=『言葉の地図』チェック中の支援スタッフ☆ ミニレクチャー<よるダイバー>  気軽な雰囲気でダイバーシティについて学びあうプチ勉強会『よるダイバー』。2022年度前期はオンライン形式での開催となりました。今年度も、男女共同参画、障がい、セクシュアル・マイノリティ、文化的多様性をテーマとして、基礎知識や時事的な話題についての講義や、それぞれのテーマに関するディスカッション、jamboardを用いたグループワークなど、多彩な方法で楽しく学ぶ時間を持ちました。また、第6回目は希望者を募って対面形式でも開催することができました。よるダイバーでは久しぶりの対面でのディスカッションに、参加者も『より話を深めることができた』と満足そうな様子でした。また、今回は退職された元教員やプレミアムカレッジ生、社会人など、多様な背景を持つ幅広い年齢層の方の参加がありました。受講者の方から寄せられた『みなさんとお話しすることができて、自分の考え方の幅が広がり、他の方の考えを聞く機会の大切さを実感することができた』という感想からは、参加者のダイバーシティがもたらす効果も感じることができました。  後期も引き続き、よるダイバーの開催を予定しています。関心のあるみなさまのご参加をお待ちしています。(藤山) よるダイバー2022前期 コンテンツ 5月13日 ダイバーシティ推進室の概要と基礎知識/講師:藤山新、益子徹 5月20日 数値から見る障がいの理解/講師:益子徹 5月27日 ジェンダーギャップ指数からみる男女共同参画/講師:藤山新 6月10日 ハカに見る文化的多様性/講師:藤山新 6月17日 『合理的配慮』ってなんだろう/講師:益子徹 6月24日 基礎的環境整備やアファーマティブ・アクションの進め方/講師:益子徹 7月 1日 フルムーン夫婦グリーンパスに見るセクシュアル・マイノリティ/講師:藤山新 7月 8日 ひとまず、ダイバーシティってなんだろう?/講師:益子徹 ☆画像=よるダイバー告知ポスター☆ コラム <ダイバーシティ・ブックレビュー>(ダイバーシティ推進室特任研究員:益子徹) 伊藤尚子著 『あのて、このて』高次脳機能障害のキセキ 論創社  みなさんは、『高次脳機能障がい』という障がいについてご存じでしょうか。 『高次脳機能障がい』という障がいは、ここ10年ほどの間に世間でも話題になるようになりました。ケガや病気による脳の搊傷が原因で、文字の読み書きや、記憶、感情表現などに障がいをきたすのが大きな特徴です。  この本の主人公は、以前本学に在籍していた伊藤遼輔さんという方で、著者はそのお母さんの尚子さんです。遼輔さんは、障がいを負ったときに、医師から『もう食べることも、歩くこともできないだろう』との宣告を受けましたが、その後、福祉施設でお仕事をするまでに回復しました。  私はこの本の中で、尚子さんと遼輔さんの日々を読んだ時、ご本人でも第三者でもない、家族という存在について深く考えさせられました。日に日に回復すると共に現れる喜びと苦悩の記録は、支援者を志す学生のみでなく、きっと多くの人の心を揺れ動かすものであると思います。  この度、この本を遼輔さんとご両親から寄贈していただきました。当室にて貸出しを行っていますので、興味のある方はぜひお読みください。(益子) ☆写真1=本表紙☆ ☆写真2=伊藤遼輔さんとご家族 ※著書より☆ <編集後記> DIVERSITY WEEKも2回目となり、今年度は『防災』をテーマに、様々な角度からマイノリティ支援に必要なことを、主に『3.11』から見つめ直す機会となりました。我々大人は当時の生々しい記憶を呼び覚ます事となりましたが、学生達にとっては幼い頃のうっすらとした記憶でしかないのですね。天災はいつかまた必ずやってきますが、人災を繰り返さないために、今私たち一人ひとりに何ができるかの知識を身につけておきたいですね。(兼子) <発行> 東京都立大学 ダイバーシティ推進室 〒192-0397東京都八王子市南大沢1-1 図書館本館1階 電話:042-677-1337(直通)/内線2571 E-Mail:diverwww@tmu.ac.jp URL:https://www.comp.tmu.ac.jp/diversity/ 発行日:2022年8月31日 ☆二次元コード=ダイバーシティ推進室HP☆