---P3 DIVERSITY WEEK 2022 第1回バリアフリー講習会 <障害のある人の防災とその避難について>  今回のバリアフリー講習会では、『障害のある人の防災とその避難について』というテーマで今村登さん(DPI日本会議事務局次長/自立生活センターSTEPえどがわ理事長)にお話をいただきました。  近年障がいのある学生の大学進学や、その支援は拡充されつつあります。しかしながら、学生生活の中で天災などに見舞われた際に、どのような手立てで共に避難できるのか、減災や防災という観点では支援体制が十分に整備できていない状況があります。そこで今回は2011年3月11日にあった東日本大震災の時の様子を改めて振り返り、障がいのある人の防災についてどのように考えていく必要があるのか、といったテーマで講演をしていただきました。講演の中では、発災後の福祉避難所の設置から稼働上の問題点や、ユニバーサル・デザインを意識した仮設住宅づくりなど、多角的かつ非常に具体的なお話が数多くありました。  学部生からは『3.11は私が小学生の頃に起こったので、その時は実感がわかず、ましてやマイノリティの方々を意識した避難についても考えたことがなかった。(中略)日常の問題から災害時の問題について検討できるし、その逆も考えられるということが興味深かった(中略)』という感想や『大学内のバリアフリーはある程度整っているものと思っていたが、避難所となった際のバリアフリーもふまえて、改めて検討する必要があるのではないかと思った』といった感想が挙げられていました。  今回の講演は“防災“というテーマでしたが、その問題の大きさを踏まえて、当事者や当事者を支援する人を含んだ多様な人たちによって、日々の環境づくりを行う必要が語られていました。今後はこのような講習会のみでなく、1人ひとりが安心・安全に避難が出来るような環境構築に向けて働きかけたいと思います。(益子) ☆画像=障害のある人の防災とその避難についてポスター☆ DIVERSITY WEEK 2022 文化的多様性講演会 <多文化共生社会における災害対応>  一般財団法人ダイバーシティ研究所の代表理事を務める田村太郎さんを講師に迎え、主に日本に住む外国の方が災害時に直面する課題や必要な支援など、災害時における多言語・多文化対応について学ぶ講演会を開催しました。田村さんは1995年の阪神大震災以来、さまざまな現場で災害時の多文化支援に取り組んでいます。その豊富な経験をもとに、外国人が災害時に直面しがちな困難について、たくさんの事例をあげながら説明していただきました。  まず、災害そのもののリスクがわからない、どのように避難すればいいかわからない、避難所でどういった支援が受けられるかわからないなど、外国人ゆえの日ごろの情報上足に基づく困難が指摘されました。それとともに、『上通』『救援』『給水』など、災害時にしか出てこない日本語が理解できないことによる困難や、外国人の行動に対する誤解や偏見などに基づくトラブルや上安などが指摘されました。そうした課題への対応策の一つとして、田村さんは、避難所や災害に関する情報を多言語化して提供することをあげました。これは単に情報伝達を可能にするだけではなく、外国人の方が自身の存在を承認されていると感じる『承認効果』や、『日本語以外の言語を話す人』が存在していることを地域や組織全体で認識する『アナウンス効果』もあり、全体的な安心感を形成することに寄与すると指摘しました。  また、日ごろの取り組みを通して『信頼できる情報ネットワーク』を構築すること、地域の変化に目を配り、外国人とともに新しい災害対応をつくることの重要性もあわせて指摘されました。  参加者からは、『実例が多く、災害時にどのような困難があるかリアルに伝わりました』『ある属性の人だけで物事を見ると抜け落ちてしまう視点があるというところから、よりダイバーシティの必要性を感じました』などの感想が寄せられ、講演会の目的を十分に達成したことがうかがえました。(藤山) ☆画像=多文化共生社会における災害対応ポスター☆ <一時保育施設『都立大KIDS』見学会>  東京都立大学一時保育施設『都立大KIDS』の認知度向上と、利用者の増加を目的として、施設見学会を実施しました。対面での開催は、2019年以来のこととなります。  当日は6月末にもかかわらず30度を超える真夏日となりました。南大沢キャンパスで集合した後、徒歩で施設まで向かい、到着後は先生方が入れてくれた麦茶をいただいて一息入れたのちに開会となりました。  参加者の自己紹介の後、施設長の吉池先生より、保育の一日の大まかな流れを紹介しつつ、保育人数が少ない分、一人ひとりの発達段階に応じた保育ができること、保護者のニーズに応じてできるだけ柔軟な対応を心掛けていること、保護者との連絡を密にして、安心して預けてもらえるようにしていることなど、保育にあたって大切にしていることを説明していただきました。  施設長の話に引き続き、2021年度末に実施した施設利用者のアンケート結果から、本施設を利用してよかったと感じた点などの感想を紹介しました。その後、参加者との質疑応答を行い、施設の予約状況やどういった散歩先があるのか、またどのように行き先を選んでいるのかなど、保育の具体的な場面についての質問が多く出されました。最後に、学長室より登録手続きや利用の流れを紹介し、閉会となりました。  一時保育施設については、その存在が本学の構成員に充分周知できているとは言えない状況もあるため、引き続き本企画のようなPRの機会を設けていきたいと考えています。(藤山) ☆写真1=『都立大KIDS』内のおもちゃと絵本☆ ☆写真2=七夕の飾りつけと見学会の様子☆