---05 Ridgelinez株式会社 コンサルタント 山本 さき やまもと さき 首都大学東京大学院 システムデザイン研究科 インダストリアルアート学域博士前期課程修了 デザイン思考をビジネスに活かす ☆本人写真☆ <キャリア/今の研究>  私は大学時代から、デザインを学んできました。素材の魅力を活かした機能の創出や表現、デザインの概念や手法に興味があり、学部の時には感性を磨くためにイギリス留学も経験しました。大学を卒業してそのまま働くのではなく、もっと学術の領域で試行実験をしながら表現について学びたいと考えていたところ、建築家でもあるヴァール・アダムス先生に出会い、首都大の大学院に進みました。  大学院修了後は、何か一つの領域に特化するよりも、社会に出て企業が抱える課題を解決したいという思いが強く、就職を選びました。当初は、従来の技術に新しい要素を加えて新たな商品価値を創造し、日本企業の持つ技術や想いを国内外に発信したいと考え、広告代理店を志望していました。しかし、その希望を聞いた先生から、コンサルタントの方がふさわしいのではないかとアドバイスを受け、そこから方向を転換し、富士通総研に入社しました。2020年に現在の会社に出向し、その後、転籍しています。  現在は、製造業の企業に対してコンサルティングを行っています。企業の売上拡大に向けて、継続利用いただくためのサポートサービスの構想企画や顧客との接点強化のご提案、新たなサービス事業・サービス企画支援などを実施しています。クライアントのニーズを探り、解決すべき課題を定義し、最適解を探すデザイン思考をビジネスに活かすことができる、やりがいのある仕事です。 <学生時代>  大学院在籍中に、“未来KADEN Project”という、動物園から学びを伝える新しい体験ツールを発想するプロジェクトに参加したことが印象に残っています。フィールドワークやリサーチを行って顧客のニーズを定義し、そのニーズを満たすために必要な事柄は何かということや、さらに何か新しい体験を提供できないかを考え、それを工学系学域のもつ技術を活用して実現させるというプロセスを体験することができました。このプロジェクトを通じて、生活者目線や利用者目線を自然と意識するようなデザインの考え方を学ぶとともに、アイデアを技術で実現し、社会に実装できることの魅力を強く感じるようになりました。 <仕事のやりがい>  コンサルタントは、企業が抱える課題の解決に直接的に取り組むことができるところが魅力です。私は考えを巡らせることや、アイデアを出すことが好きなので、自分が構想策定に関わったものが現実となり、世の中に出ていくところに大きなやりがいを感じています。そのサービスで成果が出て、クライアントから感謝されると、さらにうれしいですね。そこに至るまでは大変であっても、次も頑張ろうという励みになります。 <今後の展望>  今後は、諸外国に押され気味になっている製造業の強さを取り戻したいと考えています。製品を利用するお客様の価値観やニーズの変化を捉えた上で、従来のモノづくりに限らないサービス化による付加価値創出と新たなビジネスモデルによる事業拡大をご提案できるようになりたいです。また、自身の働き方に関して言えば、女性コンサルタントとしてのキャリア形成という点にも関心があります。自分自身がロールモデルになるつもりで、仕事だけでなく、プライベートと両立できるような働き方をしたいと考えています。 <研究者を志す学生へのメッセージ>  学生の時期は、自由に何でもできる期間だと思います。ですから、将来のことが上安でも、今好きなこと、やりたいことに精いっぱい取り組んでほしいです。また、ネットで何でも見られる時代ですが、だからこそ本物に触れることも大事です。例えば絵画を見に行くことで、それまでの道のりから国の文化に触れ、展示されている美術館や空間からより深い考察ができ、得られるものは大きいと感じています。