---01 吊古屋大学大学院 工学研究科国際交流室講師 GRIB Dina グリブ・ディーナ 首都大学東京大学院 人文科学研究科 博士後期課程修了 日本語教育における文化理解の重要性を伝えたい ☆本人写真☆ <キャリア/今の研究>  私は現在、吊古屋大学で留学生を対象にした教育と、短期留学プログラムの運営や協定校との連絡・調整など、国際化推進に関わる取組に携わっています。もともとは、ロシアの極東大学で日本語と日本文化を学び、ウラジオストクの日本総領事館に勤めていました。とても働き甲斐のある職場でしたが、次第にもう少し日本のことを勉強したいと考えるようになり、日本のことは日本で学ぶのが一番と考え、中世史を学ぶために明治大学の大学院に進みました。その際、歴史を学ぶツールとして、漢文を読むことが必要になったのですが、これが私にとってはとても難しいことでした。その結果、前期課程は漢文を学ぶことで手いっぱいで、十分に歴史の研究ができませんでした。そのことに悔しさやもったいなさを感じ、それまで日本語教育の中ではあまり重視されていなかった漢文教育をテーマに、後期課程へ進学することを決意しました。留学生への漢文教育の研究を指導していただける先生を探していたところ、浅川哲也先生の研究に出会い、首都大の大学院に進むことになりました。首都大では、留学生への漢文教育の方法や、留学生の漢文学習への意識についての研究を行いました。  現在は、例えば留学生向けの教科書のなかで、日本の都市がどのようなイメージと結びつけられて表現されているかなど、日本語教育における文化表象と異文化理解についての研究を進めています。 <学生時代>  学生時代を過ごした大学・大学院はどこも楽しかったですが、人間関係の良さとゼミの充実度という点で、首都大はとりわけ楽しかったです。広く深い知識を持つ浅川先生のもとに、多種多様な関心を持つゼミ生が集まるので、毎週のゼミ発表がとても大きな刺激になりました。ただ、首都大では研究に集中したため、学内のイベントや学外でのボランティアなどの活動にあまり参加できなかったのは、少し心残りです。 <仕事のやりがい>  学生と直接触れ合うことができるのがこの仕事の楽しさだと思います。講義とは異なる距離感で毎日のように会い、話すことができ、時には相談に乗ることもあります。問題のすべてを解決できるわけではないですが、少しでも学生の役に立ったことを実感できた時はとてもうれしいですね。また、留学生対象の就活セミナーや工学部の英語スピーチコンテストなど、楽しいと思える企画を実施することができる環境にあることも幸せに思います。 <今後の展望>  これからも、異文化理解と文化表象の分野で、日本についての研究を続けたいと思います。日本語教育の中では文法や読み書き、スピーチなどに焦点があてられる傾向にあり、文化は周縁的に扱われる傾向にあります。しかし、日本語を使えるようになっても、しっかりと日本の文化を理解していなければ、お互いのコミュニケーションが表面的なものにとどまってしまいかねません。そうした意味で、文化の重要性を学術的にもっとアピールできたらと思います。 <研究者を志す学生へのメッセージ>  研究者を目指すには、好奇心を持つことが大事です。研究は個人的な気づきからスタートするものです。私の研究も、自分がわからなかった点、つまずいたところからスタートしています。あとは、その好奇心を論文などの研究成果に持っていける、集中力を持つことです。また、研究に取り組みながらも、自分の生活も大事にしてほしいと思います。タイムマネジメントを意識して時間を作り、研究とは別の趣味を持つなどして心身の健康を保つことは、結果として研究の効率を上げることに役立つと感じています。