聟島からの海
2013年度-2018年度

新・小笠原生態系循環プロジェクトとは

外来生物駆除後の海洋島の生態系変化:環境不均質性を考慮した管理シナリオの提案

英語版 研究概要:The English Overview of Ogasawara project

概要

小笠原諸島は、独自の生物進化を育む生態系の価値が評価され、2011年6月に世界自然遺産に登録されました。一方、小笠原諸島の生態系は外来生物の侵入によって劣化しつつあるため、小笠原諸島では固有の生態系の回復を目的とした外来生物の駆除事業がすすめられています。劣化した生態系を外来生物駆除後に回復させるためには、外来生物の駆除による生態系内の生物間相互作用や物質循環の変化を予測し、生態系を適切に管理するためのシナリオの策定が必要です。
 小笠原諸島において、2010~2012年の3年間に実施した研究により、外来生物駆除後の生態系内の物質循環は、地形や植生の違いといった環境の空間的不均質性と相関することが明らかになりました。  「新・物質循環プロジェクト」では、2013年からの3年間で、(1) 外来生物の駆除によって回復してきた海鳥の営巣と、(2) 外来生物によって裸地化した場所からの土壌流出が、外来生物駆除後の生態系内の物質循環や一次生産に及ぼす影響を、地形や植生の空間的な不均質性と関連づけて野外調査および実験により明らかにします。そして、これらの実測データに基づいて、生態系内の生物間相互作用および物質循環を記述する空間的不均質性を盛り込んだモデルを構築します。モデルによるシミュレーション結果から、小笠原諸島での外来生物駆除後の生態系の適切な管理シナリオを策定します。  世界の多くの海洋島において、外来生物の侵入による生態系の劣化が進行しています。これらの海洋島においても外来生物駆除の取り組みが行われていますが、外来生物駆除後の生態系管理のための科学的な基礎情報は十分ではありません。本研究により提示される外来生物駆除後の生態系の適切な管理シナリオは、これらの海洋島の生態系管理の指針になると期待されます。

 研究組織図(2013年度以降)
研究組織図

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