明の地球環境あきらかセミナー   

地球の気持ちを理解するための時間スケール「地球年」の話

地球年による誕生から現在まで


     
参考: 河村 明 地球年−地球の半生を擬人的に振り返ると−(平成21年 10月,CE建設業界,Vol.58,pp.44-45.)


テレビでも有名なコーネル大学教授のカール・セーガン博士(1996年12月20日62才の若さで亡くなる)が、宇宙の始まりのビッグバンから現在までの150億年を1年間の年表におさめてみました(宇宙カレンダーといいます)。また、地球誕生から現在までの46億年を1年間の年表におさめてみるという地球カレンダーも有名ですね。

どちらも非常に興味深いのですが、ぼくがもっと地球の時間スケールを実感できるものはないかと考えた末、ある時思いついたのが今回紹介する「地球年」です。この考えは1999年6月12日に「子供環境ネットワークもしもし地球」主催の第3回子供環境セミナーで披露しました。(第1回子供環境セミナー第2回子供環境セミナー

「地球年」とは1億年を1年と考える単純なものです。そして、46年前の1月1日0時に地球が誕生し、今ちょうど46歳の誕生日を迎えたと考えるのです。考え方は単純なのですが、この考えの画期的な点は(自画自賛すると)、こう考えると、何と地球の寿命はおよそ100歳となり、人間の長生きな人と同じ時間スケールで地球をとらえることができる点です。なぜ地球が100歳で死んでしまうかというと、その時は、太陽が赤色巨星となって地球の軌道を飲み込み地球は蒸発してしまうからです。太陽の一生がどうなるかはその大きさなどからほぼ正確に算定されています。

さて、「地球年」で自分が地球の立場に立ったとすると(46歳の人ならそのものズバリですね)、海が形成されたのが6歳の頃(幼稚園年長さんの頃)、海で生命が誕生したのが7歳の頃(小学校1年生の頃)、光合成を行うシアノバクテリアが登場したのが11歳の頃(小学校高学年)です。地球上に超大陸が形成されたのが27歳の頃で(あっという間に青春時代が過ぎていった)、最初の動物が海で生まれたのが33歳の頃です。そして生物の爆発的多様化が起こったのが41歳の頃です。この頃アノマロカリスという生物が動物の王者として2ヶ月半(2000万年)君臨していました。やっと動物が海から陸へ上がってきたのが42歳5ヶ月です。

そして43歳6ヶ月の古生代末期、生物の大絶滅が起こりました。実に、海洋生物種の95%以上、全生物種の半分以上が絶滅しました。これにより、今度は有名な恐竜が出現したのはつい2年3ヶ月前です。恐竜は大繁栄をし、実に1年7ヶ月もの長きにわたり地球上で王者として君臨しました。その恐竜も8ヶ月前に絶滅し、ほ乳類が繁栄しました。人がサルと別れたのが700万年前(2002年7月11日付けの各新聞でアフリカ・チャドにおいて600万〜700万年前のトゥーマイ猿人の化石が発見されたと報じています)とすると約26日前(12月6日)、私たちと同じ種類の人類であるホモ・サピエンスが誕生したのが20万年前とするとたった18時間前です(2003年6月12日付けの新聞では,16万年前の現代人最古の化石が発見されたと報じています)。

人類の農耕生活が53分前に始まり、遂に動物としての食物連鎖から逸脱しこれ以降人間が異常にはびこることとなるのです。キリスト様が誕生した(西暦が始まった)のは、人類の歴史では遠い昔ですが、地球から見ればわずか10分30秒前です!!ちなみに20歳の大学生は6.3秒前(僕は15秒前)に生まれたに過ぎません。

地球から見れば、つい昨日でてきた人間が、例えば地球が何年もかけて作り上げた石油などの化石エネルギー資源を何と2,3分で使い切ろうとしているのです。すなわち,地球君の数年の稼ぎを,人間がな,なんと2,3分で,後のことも考えずパーッと使い切ろうとしているのです。そして、30秒もたたないうちに核問題や地球環境問題を引き起こし人類自体をも滅ぼそうとしているのです。メダカの絶滅を考えると同時に、後、人類が何日何時間、いや何分もしくは何秒生き残れるかよく考えてみなければいけない問題ですね。こうしてみると、アノマロカリスは偉大だったし、恐竜とはいかに大繁栄した動物か分かりますね。人類なんて地球が一眠りした間の気づかないうちにいなくなっているのかもしれません。