アジア都市圏における水問題解決のための適応策に関する高度研究 本文へジャンプ
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◆高度研究による効果


1) 都市洪水災害問題、都市河川水不足問題の解決


気候変動やヒートアイランド現象による都市豪雨発生頻度の増加に加え、アジア諸国における都市化の勢いはすさまじく、そのため、アジアの諸都市においては毎年、特に夏季モンスーン期の大雨にともなう都市洪水等の気象災害が発生し、激甚な水災害が多発するようになっています。その一方で、地下水の低下や湧水の涸渇など平常時の河川流量は減少し都市水不足が助長されています。

本研究により、まず、雨水流出現象の詳細なプロセスを把握し、水問題の原因を理解することが可能となり、水問題解決のための適応策を立て易くなります。

例えば、人為的に構築された都市環境が豪雨流出に与える影響を、本モデル・手法を用いて精度良い氾濫浸水予測が可能となるので、都市型氾濫浸水被害対策のシナリオ分析が可能となります。

また、浸水対策としての治水施設が平常時の河川流量に及ぼす影響など都市の雨水流出を水循環という視点から見ることが可能となり、都市における水循環問題解決のための大きな一助を担うものと考えられます。



2) 安全な飲料水の配水問題の解決

日本における東京都のように、アジアでも多くの人口が都市に集中し、大量のエネルギーが都市部において消費されています。各都市がCO2排出量の削減を実現させながら、持続的に発展して行くためには、都市の「環境問題」に対する取り組みが必要不可欠です。

アジアの次世代を担う研究者や技術者が、本学と水道局と連携研究しているような水道技術を学ぶことは、環境負荷の少ない都市の実現、また、より衛生的な生活環境の創造に大きく寄与するでしょう。


まず、初年度に我が国の現状と課題を把握することにより、留学生の母国とのギャップを認識した上で、2年目では水質の観点からオゾン処理や膜ろ過技術といった高度な水道技術にアプローチします。
 
そして、3、4年目には、高度な水運用と維持管理を中心的なテーマとし、如何に環境負荷を低減化させながら水道システムをマネジメントするか等、アジアの過密都市が今後に直面する高度な問題と、その克服方法について、東京都の先進的事例から学習することが可能となります。



3) 貯水池や河川の水質汚濁問題の解決

まず、水源貯水池の流動と水質現象を的確に判断できる専門家が育ち、本研究で構築したシミュレーション技術を留学生が持ち帰ることで、出身国の貯水池診断を行うことが可能になります。

そして、水質管理施策や制御施策を提案し、出身国の水質改善を効率よく進めることが可能になります。また、留学生をパイプとして相手先大学と共同研究を進めることが可能になり、高度な成果を生み出すことが可能になります。

さらに、首都大学東京と東京都水道局の共同研究成果をアジア諸都市に応用することが可能になり、東京都のレベルの高さをPRでき、貯水池水質に関する研究や実務のレベルの高さをアジア諸都市に理解してもらうことで、将来の人的交流が一層盛んになると考えます。



4) 海岸浸食問題の解決

相手国側は、私たちが蓄積してきた科学や工学の基本概念を学び、より自国に適用しやすい技術として発展させ、沿岸地域の水害、海岸侵食、海洋環境問題の対応を進められるでしょう。

一方、私たちは、地球環境保全の立場から、極めて重要なアジアにおける数々のデータの把握や技術移転のノウハウ、あるいは開発途上にある地域の社会情勢に合った技術開発のヒントを得ることができ、両国に大きなメリットがもたらされると考えます。

このようなアジア諸国との共同研究の遂行の結果として、近い将来、高潮や津波による被害、海岸防災、水環境等をキーワードとした、極めて多様な分野の研究者間の交流が行われるようになり、同国の科学技術、特に複合・新領域分野の発展に好影響を与えることを期待しています。また、学生や研究者の交流をより活性化し、研究者間のネットワークを将来に拡大していくことができます。








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