コラム● データで見る日本のマクロ経済 http://www.comp.metro-u.ac.jp/~wakita/um2gd.htm

支出項目別GDP「経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi-taisaku.html)などより

▼ 以下の表から明らかなように日本の国内総生産は約500兆円で、消費が300兆円弱、投資が100兆強、政府が100兆強。
▼ 大きく騒がれた貿易黒字(財貨・サービスの輸出マイナス輸入)は10兆円以下ともともと小さなシェア。
民間企業設備投資のGDP比率は、15%前後。91年には20%近くで高すぎた。20%という投資率は、成長率が10%ぐらい妥当と言える水準。
▼ 02年の国民1人当たり名目GDPは391万円(3万1277ドル)で、OECD加盟国ではルクセンブルク、ノルウェー、スイス、アメリカ、デンマークに次ぐ6位。円安のためランクは低下した。2000年は2位だった。

 (構成比 % 96年度)

H11年度

H12

H13 (01)

H14 H15 H16 H17 H18  

H10

H11

H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18

実績

実績

見通し

実績

実績

実績

実績

見込 見通し 対前年度比増減率(%)
民間最終消費支出(60.2)

289.3 

286.9 

291.8 

285.7 284.5 283.5 285.2 289.1 294.3

▲0.3 

0.5

▲.1.3 ▲0.1 ▲0.2 ▲0.2 1.0 1.3 1.8
民間投資(20.9)

民間住宅

20.5

20.0

19.5

18.5 17.9 17.8 18.3 18.3 18.5

▲10.0

7.2

▲1.7 ▲9.1 ▲3.3 ▲0.4 2.3 0.0 1.0

民間企業設備

75.1

80.0

78.1

74.9 71.6 75.2 71.1 75.9 79.6

▲14.9

▲6.9

6.3 ▲6.2 ▲5.8 5.35 4.4 6.8 4.8

民間在庫品増加*

▲ 0.9

▲ 1.8

0.7

▲ 1.8 0.0 0.3 ▲1.0 ▲0.4 0.3

(▲ 0.3)

(0.2)

(0.0) (▲ 0.5) (0.3) (0.1) (▲0.3) (0.1) (0.1)
政府支出(18.4)

121.8

121.5

122.7

121.4 117.4 115.2 113.6 114.3 113.2

2.5

3.8

▲0.3 ▲0.6 ▲1.3 ▲2.0 ▲1.9 0.6 ▲1.0
 

最終消費支出

83.3

86.7

88.4

88.6 87.4 88 89.3 90.7 91.0

0.2

0.5

3.8 2.0 0.5 0.5 0.9 1.6 0.3

固定資本形成

38.4

34.7

34.3

32.8 30.0 27.2 24.0 23.5 22.2

5.8

7.8

▲9.3 ▲6.6 ▲6.3 ▲9.3 ▲11.4 ▲2.3 ▲5.4
財貨・サービスの輸出(10.2)

52.2

55.6

57.7

52.3 56.7 60.4 67.0 73.8 81.1

▲1.7

▲3.2

6.7 ▲6.0 8.4 6.5 11.0 10.0 9.9
(控除)財貨・サービスの輸入(9.7)

44.3

49.4

51.8

48.4 50.5 51.2 58.1 67.1 73.1

▲8.9

▲2.1

11.5 ▲2.1 4.3 1.4 13.5 15.5 8.9
   
国内総生産

513.7

513.0

518.6

502.6 497.6 501.3 496.2 503.9 513.9

▲2.2

0.5

▲0.3 ▲2.5 ▲0.7 0.8 0.5 1.6 2.0
(同・実質)  

▲2.2

0.5

1.7 ▲1.4 1.2 1.9 1.7 2.7 1.9
注)民間在庫品増加の( )内は国内総生産に対する寄与度、単位は兆円
『国民資産と国富』 国民経済計算のポイント
▼ 建築物や土地などの有形資産と対外純資産をあわせた2003年末の「国富」は約2724兆円となり、前年末から2.6%減少。このうち土地と株式の評価額は1299兆円、480兆円で、土地は約75.6兆円も目減り。
▼ バブル期に土地総額は91年末ピーク(2455兆円)から、総額1000兆円、株式は90年末ピーク(889.9兆円)から500兆円も目減りしている。年間のGDPの3倍以上である。日本の3年分の所得が消えたと考えればよい。
▼ 国民1人当たり正味資産国富): 02年末は、2197万円、前年比81.2万円減少。

『家計と貯蓄』
▼ よく話題になる日本の個人金融資産は約1400兆円だが、そのうち半分強が銀行預金。4分の1が保険。[資金循環統計]
株式時価総額は241兆円程度(東証1部)まで一時は減少したが、変動が激しい。
▼ GDPベースの家計貯蓄率は減少しており、6.2%(2002年度)。しかし家計調査では貯蓄率(黒字率)は3割近くの高止まり。*
▼ バブル崩壊の影響で、家計が毎年受け取る金利収入は1993年の水準と比べて、その後の10年間の累計で154兆円減少したとの日銀の試算あり。

『企業と投資』
▼ 家計が貯蓄を供給し、企業がそれを借りて投資するという循環がおかしくなってきている。平成13年度より、ついに非金融法人企業は貯蓄超過に。家計と企業の黒字(貯蓄)を政府の赤字でバランスする状況。
▼ これまで蓄積した巨大設備の固定資本減耗(98兆円)の重圧が投資に大きな影響を与えている。*

『政府と公的債務』 財務省 財政の現状と今後のあり方
日本の公的長期債務は総額(ストック)で約774兆円。なおこれには財政投融資の失敗などがカウントされていない。
▼ 90年代の経済対策は98年4月発表の計画では総額16兆円など、それまで総額100兆円程度の対策がうたれている。
財政投融資計画は政府の一般歳出の3分の2の支出を行っている。融資総額は約418兆円。財政投融資の1割が、無意味な事業に投資されている、と指摘する推計もある。財務省 財政投融資リポート [財政投融資計画・残高の推移]
▼ 平成15年度一般会計予算における歳出は約82兆円。公債発行額は36兆円。税収42兆円。所得税14兆円。法人税、消費税10兆円未満。優遇措置等を除いて総消費の5%が消費税総額になる。
▼ 国の一般会計税収は、バブル期の90年度の60兆1000億円がピーク [一般会計税収の予算額と決算額の推移]
▼ 平成14年度の公的年金給付総額は36兆円、万が一、積立方式に変更した場合、当分の間これ以上の財源が必要。社会保険庁

『銀行と不良債権』 [全国銀行協会]
全国銀行貸出金残高は412兆円(03年末,)でGDPの9割程度。GDP比は80年代に80%ぐらいから急激に伸びたが、近年では減少している。米国での比率は4割程度。
不良債権にはさまざまな数え方がある。金融庁発表の銀行の問題不良債権は15年9月末の全国銀行のリスク管理債権の総額は、31.6兆円。全国銀行貸出残高400兆円の1割弱。
▼ 銀行の業務純益は4.6兆円(H13年度)だが、不良債権処理(9.7兆円)や株式償却などで当期利益は大幅な赤字(4.9兆円)。日銀考査局発表の「全国銀行の平成13年度決算について」(H14.8.14) 公的資金は総額35兆円にも達した。不良債権は日本経済が10年かかって処理しきれない額ではないが、銀行単独では難しかった。
▼ 以前に騒がれた住専の抱える総損失額は6兆4100億円であり、そのうちのわずか6850億円の財政負担で紛糾した。

『国際』 [財務省 国際金融]
対外純資産残高は、2002年末に175兆円で世界第1位。
▼ 2004年2月末の外貨準備等は7768億ドル(約70兆円)。年々増加していたが、2003年度より、巨額の介入で大幅増加。国際収支データを見ると、経常収支と同時に資本収支も黒字となる異常事態。


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