東京都立大学・数理解析セミナー


東京都立大学・数理科学専攻・解析系スタッフが中心となって「数理解析セミナー」を開催します.
"数理解析"をテーマに異分野や他専攻の教員・大学院生を含めた 幅ひろい数理解析の研究・交流の場をめざし,

・数理解析に関する最近の動向についてのオーヴァービュー的講演の企画
・解析系の大学院生の研究発表

などを中心に, 月2回くらいのペースで行っていきます.  このセミナーにご関心のある方は, どなたでもご参加ください.

通常時間帯木曜もしくは金曜の16:30-18:00 (本学の5時限に準じた時間帯)(1時間講演と30分間の質疑応答) ですが, 実際の実施時間帯に変動がよくありますのでご注意ください.
部屋: 8号館6階610

2024年度・セミナー予定:
・日時:6月27日(木)14:00-15:15
*曜日と時間が通常と異なりますのでご注意ください.
・場所:8号館6階610
・講演者:石田 敦英氏 (東京理科大)
・講演題目:分数階シュレディンガー作用素のロルニック型摂動について
・講演要旨: 通常のシュレディンガー作用素のロルニック型摂動は1956年にRollnikによって提唱され、 現在ではスペクトルや散乱理論の様々な事実が知られている。 本講演では、分数階ラプラシアンや相対論的シュレディンガー作用素を含む 分数階シュレディンガー作用素の場合のロルニック型摂動をレゾルベントの 積分核の評価から考察する。自己共役性やスペクトルの性質なども紹介したい。 これらはJozsef L?rinczi氏(アルフレードレーニ研究所)と Giacomo Ascione氏(フェデリコ2世ナポリ大学)との共同研究によるものである。

今後の予定:
・6月28日(金)16:30〜18:00 原田 順一氏 氏(秋田大学)

2024年度・セミナー実施分:
・日時:4月8日(月)16:45-18:00
*曜日と時間が通常と異なりますのでご注意ください.
・場所:8号館6階610
・講演者:HASKOVEC Jan氏 (King Abdullah University of Science and Technology)
・講演題目:Non-Markovian models of collective motion
・講演要旨: I will give an overview of recent results for models of collective behavior governed by functional differential equations with non-Markovian structure. The talk will focus on models of interacting agents with applications in biology (flocking, swarming), social sciences (opinion formation) and engineering (swarm robotics), where latency (delay) plays a significant role. I will characterize two main sources of delay - inter-agent communications ("transmission delay") and information processing ("reaction delay") - and discuss their impacts on the group dynamics. I will give an ovierview of analytical methods for studying the asymptotic behavior of the models in question and their mean-field limits. In particular, I will show that the transmission vs. reaction delay leads to fundamentally different mathematical structures and requires appropriate choice of analytical tools. Finally, motivated by situations where finite speed of information propagation is significant, I will introduce an interesting class of problems where the delay depends nontrivially and nonlinearly on the state of the system, and discuss the available analytical results and open problems here.

2023年度・セミナー実施分:
・日時: 12月18日(月)16:30〜  
・場所:8号館6階610
・講演者: 高橋 太氏(大坂公立大学)
・講演題目:N 次元 Liouville バブルの非退化性
・講演要旨:$N$-ラプラシアンを主部とする指数非線形項型準線型 Liouville 方程式には 球対称厳密全域解(Liouville バブル)が存在するが、 方程式のスケール不変性と平行移動不変性から、 Liouville バブルにスケール変換と平行移動を施した $(N+1)$ 個のパラメーターを含む関数族もまた方程式の解となる。 $N=2$ の場合には、非線形項の可積分性(有限質量条件)をみたす Liouville 方程式の解は これらで尽くされることが Chen-Li (Duke, 1991) によって示されている。 最近、P. Esposito (2018, AIHP) は $N \ge 3$ の場合にも同様の分類定理が成り立つことを示した。 本講演では、この Liouville バブルが有界関数の空間で非退化である、 つまり Liouville バブルの回りでの線型化作用素の核は、 スケール変換と平行移動不変性から生じる $N+1)$ 次元分の自明な「退化性」のみを持つことを報告する。

・日時: 12月14日(木)16:30〜  
・場所:8号館6階618 ・講演者: 伊藤 弘道氏(東京理科大学)
・講演題目:囲い込み法を用いたき裂の再構成の逆問題について
・講演要旨:本講演では、囲い込み法を用いた複数のき裂の再構成の逆問題について、 問題の背景および1組の観測データから再構成するアルゴリズムと その数値計算結果を紹介する。これらは、Andreas Hauptmann(オウル大学)、 池畠優(広島大学)、Samuli Siltanen (ヘルシンキ大学) との共同研究成果に基づく。

・日時: 12月11日(月)16:30〜  
・場所:8号館6階618
・講演者: 岩崎 悟氏(大阪大学情報科学研究科)
・講演題目:空間一次元の誘引忌避走化性方程式に対する 構造保存スキームとその特徴的な数値解について
・講演要旨:誘引忌避走化性方程式とは通常の走化性方程式に 忌避物質のダイナミクスを加えた方程式であり, いくつかの現象の数理モデルとして現れる. 本講演では誘引忌避走化性方程式が持つ正値性と積分値保存性を満たすような 構造保存スキーム(Saito and Suzuki, 2005 の単純な拡張である)について説明をして, そのスキームから得られる特徴的な時空間パターン解について紹介をする.
・日時: 11月27日(月)16:30〜  
・場所:8号館6階610
・講演者: 西野 颯馬氏(東京都立大学M1)
・講演題目:2曲線間に制限されたパス空間上でのWiener測度に対する高階の部分積分公式
・講演要旨:2曲線間に制限されたパス空間上でのWiener測度に 対する1階微分の部分積分公式は既に知られている。 本講演では、この結果を高階微分の部分積分公式に拡張する。 高階微分の部分積分公式においては、従来の1階微分の場合にはない 非自明な境界項が追加で現れ、さらに、その証明において、 Brownian excursionやBrownian house-movingと呼ばれる確率過程の ランダムウォーク近似による構成方法が新たに必要となる。 また、証明の中で、1次および2次の無限小確率の概念を導入する。 この概念を導入することで、部分積分公式の各項に現れる数式に対して 確率論的な解釈が可能となり、部分積分公式を整理する上で 有益な概念であることを説明する。 なお、本講演内容は、東京都立大学の石谷謙介氏との共同研究に基づく。

・日時: 11月20日(月)16:30〜  

*曜日・時間が通常と異なりますのでご注意ください.
・場所:8号館6階610
・講演者: 俣野 博 氏(明治大学)
・講演題目: Front propagation through a two-dimensional saw-toothed cylinder
・講演要旨: 周期的な凸凹(でこぼこ)の境界をもつ2次元帯状領域内を方程式 V=k+A に従って 運動する曲線の長時間挙動について考える. ここで V は曲線の法線速度,k は曲率,A は正の定数である. 曲線の両端はそれぞれ左右の境界上を90度の接触角を保ちながら自由に動くとする. この問題は,2006年に中村建一氏,婁本東氏と共同で研究し, 進行波の存在やブロッキング(曲線が無限遠方まで行かず有界な範囲にとどまること) が起こるための必要十分条件を示すとともに, 凸凹のサイズと間隔を限りなく小さくしていった均質化極限についても論じた. ただ,当時は境界の凸凹の傾斜角が45度より小さいという条件を課していた. これは,傾斜角が45度を超えると曲線が端点以外で境界にぶつかり, 特異点が発生しうるからである.本講演では,境界の傾斜角が45度を超える場合を考え, 境界にぶつかって特異性を生じながら進む曲線の挙動について論じる. 本研究は,森龍之介氏との共同研究である.

2014年度以前のセミナー記録

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・世話人および連絡先:
倉田 和浩(0426-77-2459, 内線 3141)
吉富 和志(0426-77-2451, 内線 3131)
カレル・シュワドレンカ(0426-77-2462, 内線3146)
石谷 謙介(0426-77-2473, 内線3167 )
下條 昌彦(0426-77-2455, 内線3135 )
関 行宏(0426-77-2475, 内線3171 )
平田 雅樹(042-677-2466, 内線 3158)