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サービス工学

SERVICE ENGINEERING

我が国の経済は、その歴史全体に渡って製造業により支えられてきました。しかしながら、近年の地球環境問題に対する関心の高まりや、原材料価格や人件費の高騰、アジアを中心とする新興国の台頭により、その持続の上での大きな岐路に立たされています。今後も我が国の製造業が持続的な成長を遂げ、国際社会においてリーダーシップを発揮し続けるためには、これまでとは異なる新たな競争力の源泉が必要とされており、人工物に関する実学体系である工学においてもまた新たなミッションの策定が求められています。そしてそのための鍵として、「サービス」が多方面で注目を集めています。

このことは、従来の工学が人工物のもつ機能を議論の対象としていた(例えば、材料力学は構造物の強度という属性を高め、コストという属性を下げるための機能開発がその目的であると言えます)のに対して、今後の新しい工学を、モノとしての人工物はサービスの伝達・供給・増幅するためのデバイスであるという観点から再構築することを意味します。そして「サービス工学」とは、サービスがもたらす価値や満足を高め、またそのコストを最適化するための「工学的手法」を与えるものであり、サービス産業のためだけでなく、人工物を製造する製造業が産み出す付加価値を増大することにより持続可能な成長を達成するための手法であると言えます。 従来の工学は、人工物の生産を通じた富の創造による幸福の増進がそのミッションであったと言えます。しかし、今や必ずしも人工物の生産が人類の幸福に直結していないことは周知の通りであり、この状況下において工学もまた新たなミッションを持つことが求めらています。人工物工学は新しいスタイルの工学の追究が一つの目的です。したがって、今後の工学のミッションを考えることは人工物工学の体系を確立することに直結します。 そしてその鍵は、人工物をサービスの伝達・供給・増幅するためのデバイスであると考える点にあります。

現在社会においては、主に環境的な側面から人工物の過剰な生産を停止することが求められています。このためには経済的な補償を担保する手段が必要であり、これはすなわち人工物のモノとしての価値だけではなく、人工物のライフサイクル全体での知識やサービスによる付加価値を増大することの必要性を意味します。以上の背景のもとでサービス工学は、新たなサービスを提供する産業の創成、既存サービスの競争力向上を実現するための手法やツールを提供するために、サービスの基礎的理解と設計・生産・開発のための具体的な工学的手法を与えることをその目的としています。

以下では、当研究室がこれまでの研究活動を通じて開発した手法・ツールの一部を、サービスの設計フェーズごとに整理し、簡単に紹介します。

  • 価値分析フェーズのための手法
    ここでは、サービスの設計フェーズを大きく「価値分析」、「具体化」、「評価」の3つの段階として考えます。その中で価値分析は、受給者の求める価値を分析する最も最初の段階に位置づけられます。本段階では、受給者像やその行動を明らかにすることにより、サービス提供の対象とする受給者のカテゴリを明確に規定し、サービスに対して受給者が要求する価値を抽出します。当研究室では、仮想的な人物像であるペルソナ概念を用いたサービス受給者のモデル化手法を提案しています。また、ナショナルプロジェクトの実践等を通じて、サービス受給中のペルソナの行動や心理状態を物語的に記述した脚本をもとに、受給者の要求価値を手続き的に抽出可能とするためのテンプレート手法を開発しています。

  • 具体化フェーズのための手法
    具体化フェーズでは、抽出された受給者の要求価値を実現するサービスの構造を具体化します。当研究室では、サービスの実現構造を可視化し、それに基づく設計を可能とするために、サービスの提供内容(何を提供するのか?)や提供構造(誰と協力して提供するのか?)、提供プロセス(どのように提供するのか?)を例えば計算機上に表現するモデル化手法を提案しています。これらのモデルは語彙表現を中心とするごく一般的な表記法により構成されるため、サービスの設計に関与する多様なバックグラウンドを有する関係者が相互に理解できる「サービスの青写真」として活用することが可能です。さらに当研究室では、このようなモデル構築の際に設計者を支援することで、設計解の質や設計効率を向上させることを目的として、過去の設計結果を設計知識として蓄積した知識ベースや、Web上のプレスリリース記事を集積したデータベース(関連:Universal Abduction Studio)を用いた多くの設計支援ツールを開発しています。

  • 評価フェーズのための手法
    評価のフェーズでは、以上の2つのフェーズにおいて導出された設計解を様々な観点から評価し、その結果に応じて上流段階に対してフィードバックを行います。当研究室では、これまでにサービスの満足度推量や構成要素の重要度分析、コスト分析等の評価手法を提案しています。さらには、サービスの提供プロセスを計算機上で模擬的に試行し、受給者満足度の推移やボトルネックの有無を事前に評価するためのシミュレータを開発しています。

現在は、サービスの3つの設計フェーズのうち、上流段階を対象とする設計支援グループと、より下流段階を対象とする評価グループの2つの研究グループを中心に研究を推進しています。設計支援チームでは、真の意味で知的な設計支援システムの構築を目的として、サービスの設計過程や設計知識に対する基礎理解や、設計支援のため設計知識管理、イノベイティブなサービスを生み出すための発想支援、新しい設計教育ツールなどについての研究を行っています。また評価チームでは、高い信頼性を有するサービスの実現を目的として、サービスの故障解析や、提供時におけるサービス挙動の事前解析、サービスの諸特性を考慮したシミュレーション技術の高度化などについての研究を行っています。

LAST UPDATED: 2013/8/29 (C) 2005-2013 SHIMOMURA LABORATORY