セミナーの進め方について

数学におけるセミナーとは? ここで言うセミナーとはいわゆる学生と教員で行う輪講形式のセミナーのことを指します。 輪講形式によるセミナーとはテキストや論文を一人もしくは何人かで順番に読み進め毎回担当者が発表形式で解説を行うことを言います。

セミナーの進め方: 私が受け持つセミナーでは大体いつも以下のような流れで進んで行きます:

(1) 発表者が黒板の前に立ってセミナースタート。
(2) 前回は大体どこら辺まで進んだかを口頭で簡潔に述べる。
(3) 今回は大体どのようなことをやるのか口頭で簡潔に述べる。
(4) 本題スタート。
(5) 本題を終えたら今回の内容を簡潔にまとめる。
(6) 最後に次回は大体どのようなことをやるか口頭で簡潔に述べてセミナー終了。

要するに発表担当者は教員になったつもりで講義をするということです。

板書について: 通常、数学のセミナーでは黒板もしくはホワイトボードを用いて解説を行います。 板書の内容は簡潔にポイントを押さえてまとめる必要があります。 具体的には『定義』『例』『補題』『命題』『定理』『証明』『注』などの項目をはっきりさせ分量も適量で分かりやすい板書になるように工夫をします。 セミナー初心者にありがちなことですが、テキストや論文に書かれている文章をそのままダラダラ書き写すのはダメです。

発表について: 発表も板書と同様に時間配分に注意を払いながら簡潔にポイントを押さえてまとめる必要があります。 セミナーでは今何を解説しているのか、これから議論はどこへ向かおうとしているのか、 発表者は聴衆が迷子にならないように常に注意を払いながらセミナーを進めて行く必要があります。 また途中聴衆から質問をされた場合もそれに答えなければなりません。 当然発表の際にはテキストやノートを見ることは禁止です。

準備について: セミナーの準備では言うまでもなく数学的な内容を理解することが最も重要ですが、 それと同じぐらい発表(プレゼン)の準備も重要です。 特に輪講形式においてはテキストや論文に書かれている内容を時間内に要領良く解説することはとても大変です。 そのためには板書原稿の準備や発表の予行練習が欠かせません。 セミナーの準備の仕方については東大の河東先生のページが大変参考になります。 是非一度熟読することをお勧めします。

東大・河東先生『セミナーの準備のしかたについて』

数学におけるセミナーとは志を同じくする者たちが集まり、熱い議論を交わすことにより、より数学についての理解を深めてゆくことのできるとても貴重で重要な場です。 そこには一人で本を読んで勉強しているときとは全く異なる世界が広がっています。 充実した時間を過ごせるようにしっかりと準備をしてセミナーに臨んでください。

赤穂まなぶ
東京都立大学