会員各位

 

       第1回歴史探訪 安重根と柳宗悦 のお知らせ

 

2006.9.11

 

 

 歴史の舞台を訪ね、歴史的な遺物に触れることで歴史を実感する。そうした機会を設けるために、歴史探訪の会を企画しました。第1回は、蘆花恒春園と日本民藝館を訪ね、近代日本と朝鮮の関係を振り返ってみたいと思います。

 

 蘆花恒春園では、園内の蘆花記念館に収蔵されている安重根の墨書を見学します。安重根は伊藤博文をハルピン駅頭で射殺した人物として著名ですが、獄中で自伝や墨書を書き残しています。蘆花記念館の墨書はその一つで、徳富蘆花が所蔵していたものです。今回、蘆花恒春園のご好意で実見できることになりました。ご期待ください。

 日本民藝館は、美術工芸研究家・思想家であり民芸運動の創始者として知られる柳宗悦が創設しました。柳は朝鮮王朝の王宮正門であった光化門の保存に尽力したように、朝鮮の美と文化をこよなく愛しました。日本民藝館が多くの朝鮮工芸品を所蔵するのはそのためです。朝鮮文化と柳宗悦の思想に触れるひと時になればと思います。

 

 当日は、安重根と柳宗悦についての解説を趙景達氏(千葉大学、朝鮮近現代史専攻)にお願いしました。会員の皆さんの参加をお待ちしております。

 

 なお本企画は、都立大学歴史学研究室談話会がこれまで行なってきた秋の企画(歴史散歩)を引き継ぐものです。そのため談話会会員にもこのお知らせをお送りしております。談話会会員の皆さんも、これまでと同様に、本企画に参加してくださるようお願いいたします。

 

 

メトロポリタン史学会

                     192-0397  八王子市南大沢1−1

                     首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系

                                        国際文化コース 歴史・考古学分野内

                                        Tel042-677-2110(木村誠研究室)

                                        E-mailmshigaku@comp.metro-u.ac.jp

 

 

 

歴史探訪実施要領

  日  時  10月8日(日)午後1時〜5時

  集合場所  京王線芦花公園駅改札口(午後1時厳守)

  参加費   無料(但し、日本民藝館入館料1,000円は各自負担)

  日  程  京王線芦花公園駅集合→@蘆花恒春園見学(蘆花記念館所蔵「安重根の墨書」見学)→京王線・井の頭線で駒場東大前駅に移動→A日本民藝館見学→午後5時頃現地解散

 

*終了後、渋谷に出て懇親会を行う予定です。会場・会費等未定ですが、参加希望者には追って連絡いたしますので、こちらも奮って参加してください。

  講  師  千葉大学教授 趙景達氏

 

  参加申し込み方法:参加ご希望の方は、9月30日(土)までに学会住所・アドレスあてに、葉書もしくはメールでお申し込みください。その際、懇親会参加の有無をお書き添え願います。

 

【参考:『朝鮮人物事典』(大和書房)より】

安重根(アン・ジュングン、1879〜1910)

 黄海道海州の名門両班(ヤンバン)の出身。幼いときから尚武的性格を持ち、甲午農民戦争では弱冠16歳で農民鎮圧軍に加わる。1895年カトリックに入信する。1905年の乙巳保護条約を契機に民族運動に目覚め、愛国啓蒙運動に参加。1907年丁未七条約が締結されると、国外亡命を決意してウラジオストックに行き、義兵の参謀中将となる。1909年10月26日、ハルピン駅で伊藤博文を射殺、その場で逮捕され、翌年3月26日処刑された。彼は天賦人権論の立場から社会進化論を批判し、弱肉強食的な世界の現実を積極的に批判した。獄中で書いた「東洋平和論」はそうした思想を記そうとしたものだが、未完に終わった。

 

柳宗悦(やなぎ・むねよし、1889〜1961)

 宗教哲学者、朝鮮美術工芸研究家。民芸運動の創始者。1916年はじめて朝鮮を旅行して、その美術に驚嘆し、以後、約20回朝鮮を訪問。一国の人情を理解しようとするならその芸術を訪ねるのが最もいい、と言うのが彼の信条であった。1924年浅川巧の協力を得て、京城に朝鮮民族美術館を設立。1919年の3・1運動に際して発表された「朝鮮人を想ふ」は、日本による朝鮮同化政策を恐るべきこととし、こうしたことがつづくなら、独立が彼ら朝鮮人の理想となるのは必然の結果であろうと書いている。1922年、それまで書いた文章を集めて『朝鮮とその芸術』を出した。