最近興味を持っている研究対象

  * Bernoulli数, Bernoulli多項式

  * 多重ゼータ関数, 関数等式,特異点解消

  * Witten型ゼータ関数, ルート系, ワイル群

  * 楕円関数, テータ関数, Eisenstein級数, Hurwitz数

  * p進L関数とその多重化

  * Poly-Bernoulli数とそれに付随するゼータ関数


最近の研究概要


 
Bernoulli数を中心として、そこから派生する数論的な対象に興味を持ち、研究を続けている。

(1) Riemannゼータ関数およびDirichlet L関数の多重級数の形で定義される多重ゼータ関数、多重L関数に興味を持ち、研究を進めている。とくにRiemannゼータの正の偶数値に関するEulerの公式を多重化した「Parity result」と呼ばれる性質について、D. Zagier氏・金子昌信氏・井原健太郎氏による対称群の表現論を利用した方法とは異なる、多重ポリログを利用した証明を与えた。この方法は、現在の多重ゼータの研究の基本となる反復積分表示を使わないため、より広いクラスの多重ゼータに適用でき、例えば1950年代に Mordell とTornheimが各々得た公式を一つにまとめることができた。

(2) 半単純Lie代数に付随する Witten型のゼータ関数の特殊値について、いくつかの場合について明示的な evaluation formula を与えた。さらに、既に知られている二重ゼータ値の間の関係式を特殊値の関係としてとるような関数関係式を導いた。これらについては一般化多重ポリログに関する考察が不可欠で、現在多変数関数論的側面から松本耕二氏と共同研究を進めている。その応用として、Witten型のゼータ関数に関しても、ある種の関数関係式で、その特別な場合として特殊値についての非自明な関係式を含むものが得られた。これらについても、上記松本氏・小森靖氏と共同研究を進めている。

(3) 松本氏によって得られていた超幾何級数を使った二重ゼータ関数の関数等式を、ある超平面上に制限することで、折り返し型の関数等式が成り立つことを松本・小森氏との共同研究から導いた。これは二重L関数に拡げることが可能で、多重化が期待される。

(4) Eisentein級数に関する Hurwitz の公式のある種の類似と見られるものを, 双曲関数を含むようなあるEisenstein型級数に関して証明した。これは Barnes二重ゼータ関数の関数等式の裏側に出てくる Cauchy-Mellin の公式の二重化と見られるものであり, 双曲関数を含むようなあるEisenstein型級数の値が, 例えば Lemniscate周率と円周率を使って記述できる。

(5) 多重ゼータ関数には多くの不確定特異点が存在するが,古庄英和氏および松本氏,小森氏との共同研究で,自然な特異点解消の理論を構築した。その観点から,Kubota-Leopoldt p進ゼータ・L関数の多重化にあたるものを定義した。さらにその正の整数点での値は,いわゆる多重ポリログを使って記述することができる。これは有名な Coleman の結果の多重化に対応する。さらにその結果は自然に負の整数点での結果に拡張できるが,それがまさにKubota-Leopoldt p進ゼータ・L関数の負の整数点での値がBernoulli数で書ける公式(とその多重化)に一致している。

(6) Poly-Bernoulli数およびその多重化に関して,金子昌信氏との共同研究でそれらを補間するゼータ関数を構成した。これは良く知られている Arakawa-Kaneko ξ-ゼータ関数の twin sibling にあたるもので,ξ-ゼータ関数と同様の性質を満たすなど,この分野の研究で新しい方向からの視点を与えている。具体的な応用として,多重ゼータスター値の関係式を与えるほか,Poly-Bernoulli数の満たす良く知られた duality と呼ばれる性質の自然な多変数化が得られる。

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