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知覚・認知の視点から運動をひも解く 樋口貴広(知覚運動制御研究室)

セラピスト向け情報発信ページ

#621 現状の樋口ゼミの活動


今回は,コロナウィルスの影響下における樋口ゼミの状況について紹介します。非常に制限された状況で苦しい状況ではありますが,大学院生たちは様々な工夫で状況を乗り切ろうと努力してくれています。

2020年度の樋口ゼミは,設立された2008年以降,最大の大所帯となりました。教員3名,大学院生11名(うち博士後期院生5名),客員研究員3名の体制です。このほかにも緊密に研究をしてくれるサポートスタッフが数名,研究活動を共にしてくれています。それだけに,今年度の活動に対する私自身の期待も大きいものがありました。

現在本学は,原則として研究活動を停止し,学生も入構できない状況にあります。よって,全員が対面する機会は一度も持っていません。ゼミはZoomを使ったオンライン形式で実施しています。過去数回にわたり実施しましたが,大きなトラブルもなくスムーズに実施ができました。

もちろん対面式のゼミに比べてやりにくい部分もあります。しかし,遠方から数時間かけて大学を往復する院生が多くいることを考えると,オンラインになったことで,彼らのゼミ参加に関する負担が格段に減ったという利点もありました。客員研究員や修了生など,不定期に参加していた関連スタッフが気軽に参加できるようになったのも,利点の1つです。

また,遠方の研究者との個人的交流に関して,これまでは多くの院生を帯同させることが困難であったイベントが,オンラインで気軽に参加させられるようになりました。これも,院生の教育機会を増やすという点では大いなる利点だと考えています。

逆に対応が必要と感じたのは,動画を用いたデモンストレーションです。樋口ゼミでは様々な対象者や課題を扱うため,実験中の動画をゼミスタッフで観察し,議論する機会が多くあります。オンライン会議の場合,家庭のWifi環境などによって動画のプレゼンテーションが上手くいきません。この点は別の提示方法を模索するなど,適応が必要と感じているところです。また,あくまで私見ですが,どちらかと言えばオンラインではチャット的な,短めの議論の方が心地よいように感じています。発言スタイルの適応が必要とも感じています。

これからしばらくは,実験対象を募集して実験をすることは難しいと思われます。そこで樋口研では,過去のデータの再分析,新しい研究手法の勉強,関連文献をより深く勉強することを推奨し,その体制を少しずつ整えています。幸い,先輩大学院生たちが様々なアイディアを凝らし,自主的に小集団を作って勉強を進めてくれています。こうした努力がいつか実を結ぶと信じて,これからも院生の活動をサポートするつもりです。



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