セラピストにむけた情報発信



日本生態心理学会第7回大会





2018年9月10日
9月8-9日に日本生態心理学会第7回大会が,早稲田大学にて開催されました。この大会でシンポジウムを企画しましたので,その内容を報告いたします。

タイトルは「リハビリテーションから見た生態心理学」です。現職のリハビリテーション従事者3名の方を話題提供者として,生態心理学の考え方がリハビリテーション対象者の評価やサポートにどのように役立てられるのかについてお話しいただきました。

最初の話題提供者は,室井大佑氏(亀田リハビリテーション病院)です。私の研究室で修士課程・博士課程を修了した仲間です。「脳卒中者の隙間通過行動」についてお話しいただきました。生態心理学の領域で長年研究対象となっている隙間通過行動を使って,脳卒中患者の行動調整ならびに知覚判断の特性を明らかにした成果を発表してもらいました。

2番目の話題提供者は,宮本一巧氏(地域医療機構りつりん病院)です。「リハビリテーション専門職によるハンドリング技術の分析-再帰性定量化解析を利用した「協応する身体」の解析の試み」についてご発表いただきました。宮本氏は,早稲田大学の三嶋博之先生の下で学部生として研究をされました。起立をサポートするハンドリング技術の熟練を評価・表現するうえで,複雑性の指標であるエントロピーの考え方が有用である可能性についてご報告いただきました。

3番目の話題提供者は,中原亜美氏(藤田保健衛生大学七栗記念病院)です。エコロジカル・アプローチ研究会に属するメンバーとして,実践的な立場から生態心理学の概念をリハビリテーションに生かす活動をされています。「脳卒中患者の上肢動作におけるマイクロスリップ計測-行為の質を生態心理学的側面から視る」についてご発表いただきました。患者の行為の質を単に成功・不成功で捉えるのではなく,マイクロスリップの生起でみる意義についてご発表いただきました。

いずれのご発表も,このシンポジウムのために十分な努力をしてくださったことがひしひしと感じられる,充実した内容でした。皆さんの今後の活躍を引き続き応援し,再び何かの機会に集結できる日を楽しみにしています。




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