セラピストにむけた情報発信



日本体育学会第69回大会





2018年8月27日
8月24-26日に,徳島県にて日本体育学会第69回大会が開催されました。週末の大型台風の影響で開催そのものが危ぶまれましたが,幸い早めに台風が通り過ぎたため大きな混乱もなく開催されました。私自身は前半2日間のみの参加でしたが,様々な発表を拝聴し,有益な情報を得ました。


私が所属する体育心理学系の領域では,「ともにあるき,ともにわらう:協調と共感のダイナミクス」というシンポジウムがありました。人間が集団で,他者に共感しつつ協調的に振舞う仕組みについてアプローチしたシンポジウムです。タイトルにある,“あるく”,“わらう”は,それぞれ運動と情動を象徴する言葉です。最近の研究成果は,“運動の同期”と“生理的活性化”が集団の凝集性や協力行動を増大させることを示しており,運動や情動が協調的振る舞いの鍵といえます。シンポジウムでは3名の話題提供者が,主として運動の同期現象に関わる研究成果を紹介しました。

キーノートレクチャーでは,幾留沙智氏(鹿屋体育大学)が,アスリートの熟達化を支える「自己調整学習のすすめ」について報告されました。自己調整学習とは,学習者自体が学習する内容を調整できるスタイルの学習方法です。コーチングの概念にも通じるところがあり,学習者の能動的で動機づけられた学習を引き出す可能性があります。幾留氏は,国際的な研究動向ならびに自身の研究成果に基づき,自己調整学習がなぜ有効か,どのように導入し,評価するのか,自己調整学習ができる人にはどのような特徴があるか,などについて話されました。

私の研究室からは,助教の福原和伸氏が一般発表として,「テニス熟練者の打球方向予測を支える近位身体情報の利用」について報告しました。比較的多くの方々に興味を持っていただいたことを嬉しく思っています。


次年度は2019年9月10-12日に慶應義塾大学日吉キャンパスで開催予定とのことです。

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