セラピストにむけた情報発信



夏の首都大学東京オープンユニバーシティ講座




2012年6月4日

ここ数年,本学公開講座(オープンユニバーシティ)において,外部講師1名を招聘し,知覚・認知とリハビリテーションに関する講座を提供しています.

一昨年度は理学療法士であり,私にとって共同研究者でもある山田実氏(京都大学)を招聘し,転倒予防に関わる山田氏の多様な取り組みについてご紹介いただきました.昨年度は同じく理学療法士である牧迫飛雄馬氏(国立長寿医療センター)に,継続的に運動を実践することが高齢者の認知機能にどのような効果をもたらすのかについてご紹介いただきました.

本年度は8月5日(日)に開催いたします.ゲストには,理学療法士の豊田平介氏(普門院診療所)をお招きします.

豊田平介氏は,生態心理学の考え方をリハビリテーションに導入されています.

生態心理学は,環境と身体特性の相互作用によって運動が創発されるというという考え方に,1つの特徴があります.実際,環境によって運動がある程度既定されるという発想は,今や認知科学的な運動制御論の中でも重要な要素になっているように感じています.

生態心理学の発想に基づけば,リハビリ従事者の方々が患者の身体特性に合わせた環境設定を行うことで,その患者にとって「できない動作」であった動作を「できる動作」に変えることができるかもしれません.こうした発想は,特に言語教示によって患者さん自身が能動的に動作を調整するのが難しい場合には,とても参考になる考え方です.

しかし,生態心理学の理論に基づくリハビリテーションは,必ずしも学際的なレベルで認知されるほど(すなわち,リハビリに携わっていない者が,論文等を通してその科学的効果を知ることができるほど)発展してはいません.

そのような中,豊田氏は常に研究者としての視点を忘れずに,臨床場面に生態心理学的発想を導入しようとしています.その活動はリハビリ従事者だけでなく,研究者にとっても意義深いものと思います.多くの方々のご参加を心よりお待ち申し上げております.

お申込み関する詳細は,こちらをご参照ください


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