高出力化を図るため、図2に示すようにOPGの後段にOPAを2段追加したシステムを開発した。OPAのQPM素子はOPG同様に±0.01℃で温度制御している。最大パルスエネルギーは20.5mJ @ 1572 nm あり、平均パワーは10.25Wで、目標を達成した。
波長同調システムとして図3に示すCO2セル透過光と参照光の強度比を一定とする波長制御システムを開発した。図4に示すように、14時間にわたり吸収線ピークにおいて4.0MHzrms、気圧不動点において1.8MHzrmsの安定度が得られ、高精度で長時間の波長同調が確認され、目標を達成した。
図1 OPG/OPAの波長安定度 | 図2 1.6μm OPG/OPA システムのブロック図
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図3 CO2セル透過光と参照光の強度比を一定とする波長制御システム | 図4 CO2 セル透過光と参照光の強度比を最小とする波長制御方式のLD 同調精度:(左)吸収ピーク波長、(右)気圧不動点 |
CO2、気温の鉛直測定のための大口径受信望遠鏡として、コンテナへの積み込みを考慮した鏡筒が短い口径60cmの反射望遠鏡を設計し購入した。また、水平分布観測のためのスキャニング型受信部の製作を行った。図6に口径60cm受信望遠鏡とスキャニング機構の外観写真を示す。
風測定のためにFBGフィルターを用いた受信部を開発した。図7に受信部のブロック図とFBGフィルターの透過特性を示す。風測定はスキャニング機構を用い、斜めにレーザーを打ち出すことにより視線方向の風速が測定可能になる。
図5 狭帯域干渉フィルターの特性とレーザー波長の関係 | 図6 口径60cm受信望遠鏡(左)とスキャニング機構(右)の外観
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図7 FBGフィルターを用いた風測定部のブロック図(左)とFBGの透過特性(右)ム |
さらにこのライダーシステムを、図9に示す外形寸法長さ6.1m、幅2.4m、高さ2.6mの移動観測可能なコンテナ(トレーラ)の内部に配置した。
図10左に昼間のCO2の高度プロファイルを示す。高度2km以下は低高度受信系で高度分解能500m、高度2km以上は高高度受信系で高度分解能1000m、時間分解能は約1時間である。更に夜間については、図10右に示すように高度8kmまでの観測が可能となった。
図8 CO2 DIAL3波長システムのブロック図 | 図9 移動観測用コンテナ(トレーラ)の外観(左)と内部(右)の写真
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図10 CO2の高度プロファイル観測例(左)昼間、(右)夜間図 |
次に、JAXA及び国立環境研究所がGOSAT衛星の校正実験として行った航空機サンプル観測の際に地上から同時測定を行い、高度3kmでのCO2濃度の比較を行った、その結果を表1に示す。両者は誤差内で一致することが確認出来た。
さらに、首都大学東京キャンパス内グランドにおいて、従来型のCO2分析器を係留気球を使って上空に浮揚させ、ライダーで斜め観測を行いCO2濃度検証実験を行った。検証実験の様子を図12に、比較結果を図13に示す。両者は誤差内で一致することが確認出来た。
風観測に関しては、地上に設置した超音波風速計とライダーによるレーザー視線方向の風速を比較した。同時比較観測結果を図14に示す。両者は0.3m/sの精度で一致していることが確認出来た。
図11 ビルの屋上に設置したCO2分析器とライダーとの同時比較観測結果 | 図12 ガス分析器を搭載した係留気球とその浮揚状態の写真
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表1 航空機サンプル観測とライダー鉛直観測結果の比較 | |
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図13 ライダー斜め観測と係留気球搭載ガス分析器の比較観測結果図 | 図14 超音波風速計とライダーによる風観測の比較結果 |