教職課程センターとは

本学では、これまで多くの卒業生が、大学や高等学校・中学校の教員として活躍しています。

2019年度から実施された新たな教員免許法の改正に対応して、教職課程を見直し、新たに教職課程センターを発足させました。

教職課程センターでは、教職についての様々な情報を集約し、あわせて教員を目指す学生・院生の相談に対応するとともに、教員採用試験の対策として、小論文や面接の指導、模擬授業や集団討論などの練習を行います。

センター長ご挨拶

 教育とは何か。この問いに対する単純な答えはないでしょう。しかし、誰もが教育を受けた経験があることは間違いありません。ここでは、私自身の高校・大学・大学院生時代の先生から得た学びから、この問いに対する私なりの解答の一例を紹介したいと思います。

 ある先生は、自身が考えるべきための具体的な方法や、悩んだ際のアドバイスは、いつも的確に示してくださいました。しかし、その際に全てを教えていただくことはありませんでした。なぜ、そのような対応をなさったのか、今であればその理由は理解できます。全てを教えてしまうと、能動的な思考やその方法を経験する機会を逸するからです。各人が自身で考える余地を意識的に残す、そして、理解する上で必要な手法のアドバイスは行い、後は各人の自発的な思考を促すことに注力する。その先生には、人を育てるためには教えすぎないとの意識があったのだと思います。

 また、ある先生は、私と先生との間に意見の相違があった際、ご自身の意見は示されず、私の意見をお聞きになるのみでした。なぜご自身の意見はあえて示されなかったのか、これについても今であればその理由は理解できます。教育は無意識の中で教育者自身の価値観を、それを受ける者に対して知らず知らずのうちに押しつけてしまう可能性を秘めています。人は誰もが個人の価値観を持ち、それに従い、多くの場面において多くを判断しています。だからこそ、先生は私の意見を尊重することを意図して、自らの意見を示されなかったのだと思います。

 これは、私が得た学びのほんの一片でしかありません。もちろん、最初の問いにすべて答えているわけではありません。ただ、この考え方は現在の私にとって、教育の場のみならず現代社会で生きるためにも必要な意識となっています。そして、私が次の世代に継承していかなければいけない、これまでに私を教育してくださった先生から受け継いだ思いとも考えています。

 教育を意識し、そこから学び、その学びをしっかり受け止めて実践していくことは、もっと多くの学びを知り、現代社会を生きる上での人としての成長を促すことになるでしょう。東京都立大学の教職課程センターが、学生のみなさんの人としての成長につながる場となることを期待します。

東京都立大学 教職課程センター長
 谷口 央

教員紹介

荒井 文昭 教授

副センター長
教育行政学、教育政治研究

 

生徒一人ひとりに寄り添うことのできる教育実践と学校のあり方を、現場の方々といっしょに考えようとしています。

杉田 真衣 准教授

思春期・青年期と教育、生活指導研究
 

実際に教室にお邪魔したり、実践記録を読みあったりして、教師の方たちと教育実践について議論してきています。
 

竹浪 隆良 特任教授
授業研究、学校改革論、高校教育研究、教師教育学
元東京都公立学校教員、都立高校3校の校長を経験

 

教育は本来、自由で創造的な営みです。都立大では、自分の頭で考えることのできる、専門職としての教員を育てたいと思います。

絹村 俊明 特任教授
生活指導論、学級・HR・全校集団づくり

 

一人ひとりの人権が尊重され、みんながいっしょに幸せになれる社会、そういう社会づくりの主体を育てるのが教育・教師の仕事だと思っています。