日本建築学会関東支部・地震被害調査連絡会主催 横浜を歩く会

2010年11月3日(水曜日) 午後1時30分から5時30分まで

場所:神奈川県横浜市西区東久保町地区 

参加者:横浜国立大学、東京大学、首都大学東京、東京工業大学から計13名

 横浜市では7年前から「いえ・みち・まち改善事業」を行っており、西区東久保町地区もその対象に選定されています。そこで今回は横浜国立大学・松本由香准教授を幹事として同大・佐土原研究室の協力も得て、東久保町地区の視察調査を行いました。また、地区協議会の和田泰次会長と、ここのまちづくりに携わっておいでの内海宏さん(横浜国大非常勤講師)にお話を伺いました。

 東久保町地区は、横浜駅から相鉄線に乗ってふた駅めの西横浜駅から徒歩10分くらいのところに広がるエリアです。横浜とはいえ、起伏の激しい地域です。車の通れない細い路地や崖地がいたるところにあって、確かに防災街づくりの必要な地域だと思いました。

 

途中の崖地から見た景色です。中央に桜木町のランドマーク・タワーが見えています。

東久保町会館にて、和田さんおよび内海さんのお話を伺っているところ。まちづくりの苦労は一方ではないことが切実に伝わってきて、皆さんのご努力には本当に頭が下がりました。町内会が自由にできるお金は少ないというのに、お茶とお菓子を振る舞っていただきました。ありがたいことです。

向かい側の斜面には久保山墓地が広がっていました。この墓地は広域避難場所に指定されています。和田会長さんのお話では、この辺りは太平洋戦争での空襲によって随分焼けましたが、東久保町地区の一部は焼け残ったことから、区画整理が進まずに隘路や行き止まり、崖地が散在して残っているそうです。

 崖から降りて行く細い道。向こうに広がっているのが久保山墓地です。
崖地から横浜中心地を望んだ、夕暮れの風景。景色は美しいですが、この場所の潜在的な危険性を思うと、景色を楽しんでばかりもいられません。
作家の村上龍は横浜市旧緑区のことを「横浜のチベット」と言っていたくらい、横浜には山深いところもあります。この東久保町地区はさすがに「チベット」ではありませんが、さしずめ「重慶」くらいの感覚でしょうか。
こんな感じの階段も随所にありました。町内の方は消防車が入って来れないことをとても心配されています。実際のところ、このままでは大地震が来たらお手上げだ、とも仰っていました。

昨年の東京を歩く会のちょうど一年後の開催でしたが、やはり良く晴れた好日でした。風もなく日差しが暖かでした。参加下さった方々に御礼申し上げます。上の写真は調査風景の一こまです。3エリアに分かれて調査しました。

随所にある坂道に名前を付けて(それまでは名前はなかった)、その名称板を電信柱などに貼っています。この名称板の作製や設置も全て町内会でやったそうです。

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