名称未設定.png首都大学東京 川上研究室
都市環境学部 都市環境学科 環境応用化学科
都市環境科学研究科 環境応用化学域

 人類が今後も持続的発展を遂げるには、環境・エネルギー問題を考慮したあるいはそれら問題を解決できるマテリアル創製が重要となります。サステイナブルテクノロジー、ナノテクノロジーを実践できる環境工学マテリアルの基礎および応用に関する研究を進めています。一方、化学・生物学・医学と工学とを結ぶバイオエンジニアリングは、今後の生命科学、環境科学の分野で中心的役割を果たす研究領域ですが、私達の研究室では、このバイオエンジニアリングを発展させる上で最も重要となる材料(バイオマテリアル)の基礎および応用に関する研究も進めています。
 川上研究室では、高分子化学・有機化学・分子生物学を基礎にして、地球規模で問題となる環境やエネルギー、さらに大都市でますます深刻となる高齢化医療への対応として、新しい環境工学マテリアル、バイオマテリアルを創り出すため、研究の方法論や独創性がどこにあるのか、何のために研究をするのかを厳しく問いながら、各自が研究テーマに取り組んでいます。学生は日頃の研究や学会・国際会議での発表を通して様々なことを学びながら、これからの時代に対応できる能力を育むとともに、人類の環境とエネルギー、医療と福祉に貢献できるよう努力を重ねています。

高機能性分離材料

スライド4.jpg 近年、地球温暖化問題においてCO2排出に対する技術であるCO2回収・貯留技術(CCS)の確立が求められています。高分子膜を用いたCO2の分離技術は、CCSにおける分離コストを大幅に低減できる手法として特に期待されていますが、CO2分離膜の実用化には超高気体透過性の達成が必要不可欠です。私たちは”ナノスペース”の導入という新しい概念に基づいた材料を開発することでこの要求性能達成を目指し、環境負荷の軽減および省エネルギー社会の実現に貢献できるよう日々研究を行っています。


高分子固体電解質膜

スライド5.jpg 次世代のエネルギー源として環境への負荷が小さく高発電効率である燃料電池が注目されています。現在、エネファームとして定置型の燃料電池が実用化されていますが、自動車やモバイル機器への応用が期待されており、今後さらに成長が見込まれる分野です。その構成要素の一つである高分子電解質膜は重要な役割を果たしており、発電性能に大きな影響を与える材料です。私たちはナノファイバーを用いたユニークな設計のもと、新しい電解質膜の開発を行っています。


ナノファイバー

スライド6.jpg ポリマーナノファイバーは、超比表面積効果・超分子配列効果・ナノサイズ効果という特異な性質を有することから、エネルギーや環境などの領域をはじめ、幅広い応用が期待されている材料です。私たちは、高分子構造および作製条件を検討することにより、ナノファイバー単体から集合体の構造・特性を制御し、従来の材料とは全く異なる機能を有する新規材料の創製を目指し研究を行っています。


バイオマテリアル

スライド1.jpgエピジェネティクスはDNA塩基配列によらずに遺伝子発現を制御でき、その発現プロファイルは一度ゲノム上に書き込まれると、安定して細胞分裂後も維持できるという特徴を有しています。後天性疾患は、塩基配列の変化を伴わない後天的な遺伝子発現制御であるエピジェネティクス異常が強く関与していると考えられ、エピジェネティクスを人為的に制御できれば新しい治療法となり得ます。近年は、塩基配列によらない新しい遺伝子操作を目指したエピジェネティクス工学の確立を目指した研究に注力しています。従来不可能に近かった生活習慣病治療への応用や、細胞の分化・脱分化を自在に制御できる新しい化学物質の創製が目的です。


バイオミメティック

スライド2.jpg 生体内で発生する活性酸素は、生体内の情報伝達物質として機能する一方、その過剰産生はアルツハイマー病、心筋梗塞などの重篤な疾患を引き起こします。我々は、活性酸素の中でもスーパーオキシドと過酸化水素に着目し、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)活性、カタラーゼ(過酸化酵素不均化)活性を有するカチオン性Mn-ポルフィリン錯体を合成しています。さらに、我々はMn-ポルフィリン錯体の薬理効果を高めるための新戦略にも着手しました。近年では、脳デリバリーを目指したナノキャリアの合成、過酸化水素とエピジェネティクスの関係、金属イオン応答的にカタラーゼ活性を発現するMn-ポルフィリンダイマー、超分子化学的アプローチによるMn-ポルフィリン錯体に着目した研究を行っています。


ドラッグデリバリーシステム

スライド3.jpg 現代医療では治療不可能な疾患に対する治療法として、遺伝子治療が注目されています。その実現のためには、機能性遺伝子を疾患部位に効率よくデリバリーする遺伝子キャリアの開発が必要不可欠です。当研究室では、新規高分子材料を基盤とした画期的なデリバリーシステムの提案により、遺伝子治療の実用化を目指すことで、人類の生活の質(QOL)の向上に貢献できるよう研究を進めています。近年は、亜鉛の生理活性効果による遺伝子発現の上方制御やIn vivo遺伝子デリバリーキャリア分子設計へ研究展開しています。


材料プロセスへの磁場応用

磁場紹介.png  我々のまわりにあるほとんどの物質は弱磁性物質です.磁場との相互作用が弱いために今までは非磁性物質として扱われ,磁場を利用した材料開発は出来ないと考えられてきました.しかしながら,超伝導技術の発展により容易に強磁場環境が利用できるようになり,弱磁性物質への磁気プロセスが利用できる環境が整いつつあります.

我々は磁気トルクや磁気力を利用して,弱磁性物質の配向制御,位置制御,濃度制御を通じて,材料の特性改善や新規機能発現を目指した研究を行っています.


超分子システム

名称未設定.png  天然金属タンパク質は、多様な超分子的相互作用により構造を安定化し、水中温和な条件下で迅速な酸化還元反応を触媒しています。天然金属タンパク質を模倣した人工超分子システムの構築には、活性酸素消去能力を有する抗酸化剤や環境負荷の少ないエネルギー変換触媒などへの応用が期待されます。近年我々の研究グループでは、ククルビット[10]ウリル内部環境を利用した水溶性異種金属二核錯体を設計・合成し、医療・環境・エネルギー分野の応用を目指した研究を進めています。