発展途上国における組積造建物に適用可能な滑り免震機構の開発

 発展途上国における石積組積造建物の滑り免震機構の適用に向けた研究を行っています。組積造は廉価で施工性がよいというメリットがあるため、主に発展途上国で広く普及してきました。しかし、デメリットとして、構造的に弱く、耐震性能が低いという点が挙げられます。そのため、地震時には多くの建物が被害を受けてきました。組積造の耐震化に向けた研究は数多く報告されていますが、発展途上国における耐震化普及には至っておりません。その理由として、入手困難で高価な材料を用いた工法の提案であることや現地の職人にとって施工が困難であることなどが挙げられます。そうした課題を解決するために、本研究では組積造の柱脚部を切り離し、大地震時に基礎上で滑らせる機構(以下「滑り免震機構」)の適用を考えています。滑り面には、低コストで施工性のよい材料を用いることで、現地での技術移転可能な滑り免震機構を開発し、発展途上国の耐震化促進への貢献を目指します。これまでに、滑り面の構成材料選定のための実験を行い、滑り面の実用の可能性を検討してきました。