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 首都大学東京 アジア高度研究

研究内容company

本研究では、以下に示す5つの課題の研究に取り組みました。
なお、構造材料面から「コンクリート構造」と「鋼構造・複合構造」、構造形式面から「地下構造」、さらに、構造物に影響する「土質」、諸施設の重要度と密接に関係する「計画・交通」の計5つの分野を取り上げ、都市インフラ施設に期待される長期耐久性の実現を目指します。

1 劣化機構の解明、劣化進行予測と耐久性評価手法の確立

コンクリート
コンクリート構造物の耐久性に影響するひび割れの発生挙動、各種劣化要因とセメント水和物の細孔構造との関係、施工の良否や建設材料の品質が耐久性に及ぼす影響などを明らかにし、劣化進行予測手法、耐久性評価・判定指標について検討します。
鋼構造・複合構造
疲労き裂や鋼材腐食などを踏まえた、劣化構造物の耐荷性能の評価方法を検討し、余寿命評価手法、劣化抑制方策、恒久的な補修、補強策の確立に結びつけます。
地下構造
大都市の地下構造には、極近接トンネルや軟弱地盤中のトンネルなど、都市地下施設特有の構造的要因が多くあります。そこで、軟弱地盤、液状化地盤、地滑り地盤、切土などの不安定地盤の特性を踏まえた沈下・変形挙動評価方法について検討します。

2 非破壊による調査・診断、モニタリング、維持管理手法

コンクリート
構造物の保有性能や劣化状況を非破壊で把握することが、経済性ならびに構造物に与える損傷の低減の意味から重要ですが、現状、測定精度の問題等から、非破壊診断手法による調査・診断結果の信頼性が低いと言わざるを得ません。しかし、今後ますます老朽化した構造物が増えることが予想されることから、コンクリート構造物へのアコースティック・エミッション(AE)など比較的容易に用いることができる非破壊診断技術の適用性を評価し、精度向上について検討します。
鋼構造・複合構造
疲労き裂進展や腐食劣化進行のモニタリングは構造安全性確保に有効であることから、鋼構造物および複合構造物を対象としたモニタリング手法の研究を行います。
地下構造
地盤特性の相違を考慮した地下構造物の安全性確保のためには、非破壊診断による地盤特性評価技術の適用が欠かせないことから、地盤の常時微動測定結果の評価技術、地下地質の物理探査技術の適用性、精度向上について研究します。

3 安全性確保のための補修・補強技術

コンクリート
老朽化した構造物を所要の性能レベルに回復することが、構造安全性の確保に重要であることから、コンクリート構造物を対象に、補修・補強構造物の耐荷力の検討、補修界面の一体性確保による剥落防止策の検討を行い、それらをもととした既設コンクリート構造物の補強技術の確立を目指します。
鋼構造・複合構造
鋼構造物および複合構造物においては、繰返し荷重による疲労き裂が社会的問題になっており、き裂進展の抑制による構造物の安全性確保を目的とし、き裂進展による疲労寿命予測手法、CFPR板接着による鋼構造物・複合構造物の補修・補強工法を開発します。

4 地下構造物に影響を及ぼす土質・地盤特性ならびに安定化技術

地下構造
都市部における地盤特性は、必ずしも良好なものばかりではなく、例えば地下構造物が近接して構築されるなど、厳しい条件下での施工となります。補修・補強が他の構造物に比べて困難となる地下構造物を、長期間安全に供用するためには、構築時の品質確保が極めて重要です。そこで、掘削地盤の変形を抑制してトンネルを構築するなど、高精度な地下空間構築技術ならびに高品質な地下構造物建設技術の確立を目指します。
土質
地下構造物の地盤変形に伴う劣化を抑制するためには、トンネル等構造物周囲の地盤変形を把握し、それに対する改良・補強を適切に実施する必要があります。そこで本研究では、軟弱地盤、液状化地盤、地滑り地盤、切土などの地盤変形の評価ならびに不安定地盤の安定化技術について検討します。

5 アセットマネジメントに適用可能な交通状況推定手法 

計画・交通
将来における経済活動や社会変動の変化に伴い、既存の都市インフラ施設の利用状況・重要度は変化することが予測されます。アセットマネジメントの観点から、また懸念される首都圏直下型地震被災後の緊急道路網確保の観点から、大都市における道路交通ネットワークのあるべき姿について研究し、交通状況推定手法について検討します。