大学院<表象文化論>教室案内

〈プログラムの特色〉

(1)博士前期課程

 表象文化論分野は、イメージ論、視覚文化論、パフォーミング・アーツ研究、音楽・聴覚文化論、 伝統芸能研究、言語芸術論などに取り組む芸術表象研究と、文化的事象を制度・権力・身体・メディアといった視座から検討する文化表象研究をふたつの主要研究領域とみなしている。実際の研究・教育にあっては、20 世紀半ば以後著しい発展を遂げた、文化・芸術にかかわる理論的探求の成果、すなわち現代思想、記号論、精神分析、ジェンダー論、批評理論、カルチュラル・スタディーズ、メディア論、イメージ研究、映画学、サウンド・スタディーズなどがもたらした方法論的成果を重視し、それをふまえたうえで、美術、映画、音楽、演劇、文学から、舞踊、広告、デザイン、ファッション、マンガ、テレビドラマまでのあらゆるジャンルの作品、作家、運動などを研究対象としてあつかっていく。こうした学際的・領域横断的な研究・教育の場の特長を活かしながら、今日の多様化する 文化・芸術の諸問題に幅広い視野から取り組んでいく。


(2)博士後期課程

 博士前期課程と基本的なプログラムのあり方はかわらない。とりわけ表象文化論分野に実現された学際的・領域横断的な研究の場の特長を活かして、今日の多様化する文化・芸術の諸問題に幅広い視野から取り組んでいこうとするその学問的姿勢は博士前期課程からそのまま継承する。後期博士課程では、そのうえで専門的知識と問題解決能力をよりいっそう伸ばし、各々の専門領域において自立した専門家として独創的な研究を主体的に行なっていけるよう環境整備と指導体制強化をはかっていく。



〈育成する人材像〉

(1)博士前期課程

 表象文化論分野は、芸術表象研究(イメージ論、視覚文化論、パフォーミング・アーツ研究、音楽・聴覚文化論、伝統芸能研究、言語芸術論などからなる)と文化表象研究(文化的事象を制度・権力・身体・メディアといった視座から検討する)をふたつの主要研究領域とみなし、20世紀半ば以後著しい発展を遂げた理論的アプローチを重視しながら、芸術・文化のさまざまなテーマに取り組んでいる。このような学際的・領域横断的な研究・教育の場の特長を活かし、今日の多様化する、芸術・文化の諸問題に対処しうる豊かな教養と柔軟な思考力をもった人材の育成を目指す。修了後は学芸員、編集者など、博士前期課程で身につけた、文化・芸術にかんする専門的知識、研究手法ならびに問題解決能力の活かせるさまざまな分野に進んでいる。


(2)博士課程後期

 表象文化論分野に実現された学際的・領域横断的な学びの場の特色を活かして、博士前期課程で修得した専門的知識や問題解決能力をよりいっそう伸ばし、表象文化論に関連する各専門分野で自立した研究者ならびに高度専門職業人として活躍できる人材の養成を目指す。



〈分野固有の知識・理解及び技術〉

(1)博士前期課程

・表象文化論の基本的理論とその多彩な専門領域の知識を習得し、高度な研究を遂行する能力を獲得する。
・表象文化論のさまざまな理論を応用し、変化の著しい現代の文化・芸術にかんするアクチュアルな問題に、その歴史的背景も視野に入れつつ取り組むことのできる能力を獲得する。
・表象文化論の多様な領域の専門的知識を基礎としながら、文化・芸術の専門分野において今日必要とされる高度専門職業人としての能力を獲得する。
・学際的・領域横断的な研究の場の特長を活かし、幅広い視野を身につけるとともに、留学などをとおして国際的な専門職業人・研究者としての業務も遂行しうる能力を獲得する。


(2)博士後期課程

・表象文化論のさまざまな理論とその多彩な専門領域の知識を習得しており、それにもとづいて研究者として独創的な研究を遂行し、学術上の発展に貢献する能力を獲得する。
・幅広い視野から専門的知識を駆使し、グローバル化の進む現代社会で活躍できる国際性をそなえた高度専門職業人としての能力を獲得する。



〈専門知識及び研究開発その他の能力の確保のための科目編成・教授法・評価法等の基本的考え方〉

(1)博士前期課程

「芸術表象研究」と「文化表象研究」というふたつの科目系統のなかで、表象文化論のさまざまな領域にかんする多様な内容の授業が展開されている。2年間の修業年限のなかで関連する諸科目を履修することによって学識を深めていくとともに、みずからのテーマの研究を進めていく。1年次では研究計画にもとづく表象文化論のさまざまな理論、資料の収集と分析の方法などを学び、今後の研究の基礎を築くとともに総合的な幅広い学力を身につける。あわせて修士論文のテーマを各自決定し、修士論文執筆の準備にはいる。2年次では、1年次から修得してきた知識と研究手法をもとにして修士論文の執筆を本格的にはじめる。指導教員を中心とする論文指導のもとで研究の進捗状況を随時報告し、博士前期課程の研究成果として修士論文を仕上げる。


(2)博士後期課程

 博士後期課程では「芸術表象特論」と「文化表象特論」というふたつの科目系統のなかで、博士前期課程と同様に多様な内容の授業が展開されており、より高度で、より専門的な知識と研究手法を学修していく。指導教員を中心とする論文指導のもと、研究者ならびに高度専門職業人としてふさわしい成果が得られるよう綿密な研究計画を練り上げ、それにもとづいて各自のテーマや目的にそった研究を進めていく。そのなかで学会での発表や報告、学術誌への論文投稿なども行ない、専門家としての能力を涵養していく。在学中あるいは修了時に博士論文計画書を作成し、予備審査に合格することにより、博士学位請求論文の執筆が許される。こうして最終目標としての博士学位請求論文の提出、ならびに博士学位の取得を目指す。







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