東京都立大学大学院 表象文化論分野で学びたい人のための参考書籍一覧

2021年5月27日 公開


表象文化論分野博士前期課程の入学試験では、専門科目の筆答試問を課しています。いずれの問題も、表象文化論を学ぶにあたって基本となる事項の理解を問うものですが、ここ数年、必要と思われる知識を持たないまま受験に臨んでいる志願者が少なからず見受けられます。大学院に入学してからの勉学に支障のないよう、そしてご自身の関心を適切な方法論をもって深められるよう、ぜひこの分野の基礎知識を学んだうえで進学を考えていただきたい──そのような思いから、以下の参考書籍一覧をお示しします。

この一覧は、表象文化論で扱われるさまざまな対象、そして援用されるさまざまな方法論について、基本的知識を得るのにふさわしい書籍という観点から選びました。分野の性格上、けっして網羅的なものではありません。また、ここに含まれない重要な方法論や、より発展的な議論が存在することもあらかじめお断りしておきます。

一覧の冒頭には、表象文化論全般を見渡すのにふさわしい書籍二点を挙げました。そのうえで、表象文化論に強くかかわる複数の理論、そして芸術・文化のジャンルごとに、数点ずつの書籍を列挙しています。悔いのない受験のために、そして勉学の発展のために、役立てていただければと思います。


渡邊守章・渡辺保・浅田彰『表象文化研究 文化と芸術表象』、放送大学教育振興会、2002年。
石田英敬『記号論講義──日常生活批判のためのレッスン』、ちくま学芸文庫、2020年。

船木亨『現代思想史入門』、筑摩書房、2016年。
岡本裕一朗『いま世界の哲学者が考えていること』、ダイヤモンド社、2016年。
佐々木敦『ニッポンの思想』、講談社、2009年。
仲正昌樹他『現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!』、PHP研究所、2007年。

門林岳史・増田展大編『クリティカル・ワード メディア論──理論と歴史から〈いま〉が学べる』、フィルムアート社、2021年。
伊藤守編『よくわかるメディア・スタディーズ』、ミネルヴァ書房、2009年。
マーシャル・マクルーハン、クエンティン・フィオーレ『メディアはマッサージである──影響の目録』、門林岳史訳、河出文庫、2015年。

大橋洋一『新文学入門──T・イーグルトン『文学とは何か』を読む』、岩波書店、1995年。
ピーター・バリー『文学理論講義』高橋和久監訳、ミネルヴァ書房、2014年。
土田知則・青柳悦子・伊藤直哉『現代文学理論──テクスト・読み・世界』、新曜社、1996年。
土田友則・青柳悦子『文学理論のプラクティス──物語・アイデンティティ・越境』、新曜社、2001年。

ジークムント・フロイト『エロス論集』、中山元訳、ちくま学芸文庫、1997年。
スラヴォイ・ジジェク『斜めから見る──大衆文化を通してラカン理論へ』、鈴木晶訳、青土社、1995年。
松本卓也『人はみな妄想する──ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』、青土社、2015年。
立木康介編著、『精神分析の名著──フロイトから土居健郎まで』、中央公論新社、2012年。
鈴木晶『「精神分析入門」を読む』、日本放送出版協会、2000年。

江原由美子・金井淑子編『フェミニズム』、新曜社、1997年。
上野千鶴子『〈おんな〉の思想──わたしたちは、あなたを忘れない』、集英社文庫、2016年。
アーニャ・ルーンバ『ポストコロニアル理論入門』、吉原ゆかり訳、松柏社、2001年。

デイヴィッド・ボードウェル、クリスティン・トンプソン『フィルム・アート──映画芸術入門』、藤木秀朗監訳、名古屋大学出版会、2007年。
石原陽一郎編『映画批評のリテラシー──必読本の読み方/批評の書き方』、フィルムアート社、2001年。
村山匡一郎編『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ 新装増補版』、フィムアート社、2013年。
北野圭介『新版 ハリウッド100年史講義』、平凡社新書、2017年。
四方田犬彦『日本映画史110年』、集英社新書、2014年。
中条省平『フランス映画史の誘惑』、集英社新書、2003年。

長谷正人編『映像文化の社会学』、有斐閣、2016年。
日高優編『映像と文化──知覚の問いに向かって』、京都造形芸術大学 東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎/幻冬舎、2016年。
ジャン=クロード・フォザ、アンヌ=マリ・ギャラ、フランソワーズ・パルフェ『イメージ・リテラシー工場──フランスの新しい美術鑑賞法』、犬伏雅一・前川陽郁・前田茂訳、フィルムアート社、2006年。
三浦篤『まなざしのレッスン──1西洋伝統絵画』、東京大学出版会、2001年。

渡辺裕『聴衆の誕生──ポスト・モダン時代の音楽文化』、中公文庫、2012年。
谷口文和・中川克志・福田裕大『音響メディア史』、ナカニシヤ出版、2015年。
東谷護編『拡散する音楽文化をどうとらえるか』、勁草書房、2008年。

山下純照・西洋比較演劇研究会編『西洋演劇論アンソロジー』、月曜社、2019年。
ジョージ・スタイナー『悲劇の死』、 喜志 哲雄、 蜂谷 昭雄 訳、ちくま学芸文庫、1995年。
ライオネル・エイベル『メタシアター』、高橋康也、大橋洋一訳、朝日出版社、1980年。
松井今朝子『歌舞伎の中の日本』、NHK出版、2010年。

『世界の詩論──アリストテレスからボヌフォアまで』、青土社、1979/1996年。
オクタビオ・パス『弓と竪琴』、岩波文庫、牛島信明訳、2011年。
篠田一士編『世界の文学37 現代詩集』、集英社、1978年。


以上



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