地形・地質学研究室
東京都立大学大学院 都市環境科学研究科 地理環境科学域
研究室紹介
研究のテーマ

地形・地質学研究室では,将来の地球環境変化の予測を最終的な目標として,そのために必要な過去の地形形成過程や環境変化など,大地に刻まれた情報の解明に取り組んでいます. 野外での観察・計測や,室内での分析結果をもとに地球表層の環境が現在とほぼ同様となった第四紀(約260万年前〜現在)の地形・地質に関連する様々な現象を研究しています. 2017年3月より,大学に設置された「火山災害研究センター(2022年度より,島嶼火山・都市災害研究センター)[ホームページ]」での研究と連動し,火山とその防災に関する総合的研究も進めています.

  1. 爆発的噴火のメカニズムの解明,火山噴火史・火成活動史の復元
  2. プレート境界域における地形発達史や第四紀地殻変動の解明
  3. 過去百万年〜最近十年スケールでの災害史や環境変動の復元
  4. 火山灰層序,放射性同位体測定などによる各地の地形と地層の年代測定
教育活動

研究室教育活動とは,以下の指導から構成されます.

  1. 研究室メンバー全員が出席義務をもつ毎週火曜日3〜4限(13:00-16:10)に開催されるゼミ
  2. 不定期に行われる野外巡検を中心としたゼミ合宿
  3. 各学部学生・大学院生と各教員が個別に行う野外・実験室における指導

これは東京都立大学大学院 都市環境科学研究科 地理環境学域の授業科目としては,地理環境科学演習I・II・III・IV(博士前期課程),地形学特別研究I・II(博士後期課程;毎年度繰り返し履修)に該当します.

ゼミでの発表者は15〜30分程度の持ち時間で,主にスライド・液晶プロジェクターその他の機材を用いて口頭発表を行ない,同時にその補助材料と記録のためA3のレジュメ数枚程度を用意する義務を持っています.

また,卒論生(学部最終年次)と修論生(博士前期課程最終年次)は個人で取り組む課題として,それぞれ卒業論文(地理環境科学特別研究)と修士論文の作成があります.

研究機器

地形・地質研究室では,研究のための支援機器を多数備えています.

水文地形実験棟(通称:地災室)をはじめとした実験室には各種の専門機器が設置されています.その一部、本研究室にとって特に重要な機器をご紹介します.

○ 温度変化型屈折率測定装置 RIMS2000 (京都フィッショントラック製)

初代RIMS86が研究室に導入されて約20年.この間,多数のテフラに対し火山ガラス・斑晶鉱物の屈折率が測定され,内外のテフラ研究に大きく貢献しました.現在の機器は2000年に大きくバージョンアップし,インターフェイスも替わりました.

RIMS2000
○ エネルギー分散型X線分析装置 EDAX-Genesis APEX2(旧JED-2300) および 走査顕微鏡 JSM-6390 (日本電子製)

1991年の南大沢移転とともに,初代分析装置JED-2000+JSM-5200が導入されました.この20年間に分析されたテフラは数え切れず,数多くの卒論・修論にそのデータが用いられています.主にはテフラに含まれる火山ガラスの主成分化学組成測定に利用されていますが,最近では風化に耐性のあるチタン磁鉄鉱にも適用され,大きな成果を上げています.現在の装置は2007年に更新されたものです.

エネルギー分散型X線分析装置 JED-2300 および 走査顕微鏡 JSM-6390 (日本電子製)
○ γ線スペクトロメーター(ORTEC社&セイコーEG&G製)

堆積物試料から放出される自然放射線のうち,γ線を測定します.主に過去100年間程度の堆積速度を推定する鉛同位体(Pb-210)年代測定に使用します.

γ線スペクトロメーター
○ 古地磁気測定装置 (夏原技研製)

5年ほど前に購入され,徐々に活躍しつつある装置です.中部日本大峰帯の火砕物,東北日本の八甲田起源の火砕流堆積物に適用されています.

古地磁気測定装置
水文地形実験棟

水文地形実験棟(通称:地災室)は,理工共同施設のひとつとして10号館の北側に位置しています.

採取したテフラや砕屑物などの各種試料を扱う作業の場であり、本研究室のメンバーの多くが利用することから議論に花が咲く研究空間にもなっています.

主に利用されている202室・203室を紹介します.

● 202室

γ線スペクトロメーターと試料保存用の冷蔵庫を設置しています.他には堆積物試料の篩い分けや重液分離用の用具類,実体顕微鏡などを備えています. 水道がないため,水を用いる作業は基本的に203号室で行ってもらうことになります.

202室
● 203室

実体顕微鏡や偏光顕微鏡が備え付けられており,各種試料の観察や分析に向けての前処理作業に利用されることが多い部屋です.試料の洗浄,重液分離,有機物遊離,アイソダイナミックセパレーターを用いた試料中の磁性鉱物の分離,EDS分析のための試料台作製,岩石薄片の作製など、様々な作業が可能です.

203室